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「西浦さん?」
「え?…ああ!」
夏休みに入って1週間。
綾部くんのサッカーの試合を見に、私は学校に来ていた。
行くか悩んだんだけどね、本当は。
1人で行くのも嫌だし、でも美保は一緒に来てくれないし。
行くのやめようかと思ったんだけど、でもせっかく誘ってくれたんだから行くべきかなって。
「えーっと…誰だっけ?」
「…ひでぇ」
「いやー…あのとき名前聞いてなかったし」
校門近くで声をかけてきたのは、部員A。
あの日、綾部くんと映画を見た日、今日のことを言ってきた人。
「土屋」
「…土屋くん?」
「そ。覚えて」
確かに、いつまでも部員Aじゃかわいそうだもんね。
「試合、見に来たんだろ?」
「まあ、一応」
「綾部、あっちにいるよ」

