いつのまにか隣にいたサッカー部の1人が言った。
名前わかんないから、部員Aでいっか。
「来週から大会だっていうのに、今日どうしても部活休ませてくれって」
なんて返事をしたらいいかわからなくて、私はそのまま黙って聞いた。
「ふざけんなって言って、俺らが無理やり練習付きあわせてたわけ。あれでもあいつ、レギュラーだしな」
もしかして、それで来るのが遅かったのかな?
そんなに大事な時期なら、私べつに今日じゃなくてもよかったのに。
「でもどうしても今日、西浦さんと映画行きたいんだって言うから、俺らもしぶしぶ…って感じだったわけよ」
そうだったんだ…
でも、どうして私?
最近、やっと話すようになってきたばかりなのに…
彼女とか、いるんじゃないの?
綾部くんサッカー部だし。
なんか、サッカー部ってだけでモテるよね、男の子って。
「ま、あいつあれでも本気だからさ。大目に見てやってよ」」
「本気…って?」
きょとんとする私に、ビックリする部員A。
「え!?あ、いやいいんだけど、別に…」
「…何のこと?」
私の言葉に、更に目を丸くする部員A。
なぜ驚くのよ!?

