いとこ ~2度目の初恋~

『なぁ、チャンネル変えていい?』


テーブルからリモコンを取り、スミレの返事を待たずにチャンネルを変えた。
テレビに嫉妬するようになるとは……。
 苦笑いを浮かべ、次々に切り替わる番組を一通り見るも、どれも面白くはなく、その殆どがワイドショーかニュース番組だった。


「あっ、このドラマ見たかったやつ!」


 次に回したチャンネルで、ちょうど再放送のドラマが始まった。〈すれ違う赤い糸〉とタイトルが表示され、歌が流れ始めた。
 唯一毎週見ていたドラマで、確か一年前に放送して視聴率が悪かったとか。
学校でも見てる人は何人かいたけど、ほとんどがドラマの悪口だった気がする。
 最初は何となく部屋に行くのがめんどうで見ていただけだった。
恋愛ドラマの何がいいんだっ?て思ってたけど、このドラマは俺の思っているものとは違かった。


 あらすじとしては《久しぶりに集まった親戚の中に初恋の相手と再開をした主人公の男Aは、その姿に驚く。
 見違えるほどキレイになった彼女Bに目が釘付けになる。
「久しぶり!」無邪気な笑みにドキドキしながら、知らぬ間に再び恋に落ちてしまったのだ。
相手は″いとこ″だと何度も忘れようとしたが、忘れることが出来なかった。
 高校の帰りこっそり連絡を取り合い逢瀬を重ね、やがて恋人へと進展する。
イケナイ恋に溺れる二人になにも怖いものなどなかった。
会う度唇を重ね、ついに二人はひとつになった。


 ある日Aは深刻な顔でBの前に現れた。
「お母さんにバレそうになった。」と告げられ、なにも言えなくなるBに「誤魔化したから大丈夫」と笑顔を向けられ、泣き出してしまうBは急に襲ってきた現実に無力さを感じこんな恋はあってはイケナイと泣き「親に言えない関係関係を恋人と呼べるの?」そう言ったBに「俺が守るから」と真剣な顔でいうAの言葉を心のどこかで否定しながらも、信じてみようと頷いた。
 しかし、そんな関係がいつまでも隠し通せる訳もなく、Aの親に呼び出されたBはAと別れてほしいと頭を下げられてしまう。
「俺は別れない!」キッパリいうAにBは迷っていた。Aの親にこんな事をさせてまでこの人と一緒に居たいのかかと。
答えを出せぬまま彼に手を引かれ家を後にする。


 数日後、Aは大きな荷物を持ってBの元を訪ねる。「一緒に来てほしい。」その言葉ですべてを覚ったBは黙って頷いた。
必要な物だけを鞄に詰め、買い物に出ている母に「ごめんなさい」と書いた置き手紙を残し家を出た。
 駆け落ちをした二人が行ける場所を探し、やっと見つけた安いアパートえお見つけ暮らし始めた。
貧乏ながら楽しい生活。それはAにとって幸せなものだった。
この暮らしがいつまでも続くことを強く願いつづけ、一年が過ぎたある日、チャイムが鳴った。
ご近所さんがお裾分けに来てくれたのかとAがドアを開けると、そこにいたのは白髪が増えた母の姿だった。
一年で人はこんなにも変わってしまうのかと驚き、その長さを実感した。


「もう十分でしょう?」泣きながらAにしがみつく母の姿に目を瞑り、追い返そうとした時、「私が連絡したの」と纏めた荷物を持つBが出てきた。「どういう事?」
Aに内緒でAの母親と連絡を取り合っていたBは一年彼と一緒に暮らせたら、もう彼の前に姿は見せないという約束をAの母と交わしていた。
 その事を聞かされたAは「別れない!俺は、お前を守るって決めたんだ!」Bの腕を掴み引き止めようとするも、Bは「いままでありがとう。さようなら」と涙を長し最後のキスをし、腕を振りほどきその恋に終止符を打った。
 Aの母は「ありがとう」と頭を下げ、Bは笑顔で「いままで許してくれてありがとうございました」と頭を下げ堂々とその場を去った。
その後、一年ぶりに我が家に帰ると、父にビンタをされ、「お帰り」と抱き締められ我慢していた感情が爆発した。
そして、BはAを忘れる為日本を離れた。
Aと交わした指輪をお守り代わりに。……≫