『どうしたらいいか分からなくて、飛び出してきた』


「はあっ?」


秋の部屋に通され秋はベッドに俺はその下に胡座を掻き座った。


『ここ最近色々ありすぎて、頭が追い付かなくて』


俺の呟きを聞いた秋は「そっかぁー。晴斗を変えるのは俺だと思ってたんだけどなぁ」と言った。


『ん??』


「いや、これでも責任感じてるからさ?」


『……。』


ハッキリとは言わなかったけど、きっとあの誕生日の事を言っているんだろう。
 最近やっと周りに気を配れるようになった。今まで自分しか見えてなかった視界を上げたからか、世界がやたらと眩しく見える。


『俺さ、最近思い出した事があって。スミレと秋の言ってた事が全部繋がった。無理に思い出そうとしたら頭痛くて、割れるかと思った』


笑いながら話せてる自分にホッとし先を続けた。


『どうしても帰り道が思い出せないんだけど、玄関あけて俺が『ただいま』って言うのと同時に、凄い音がして……その後に楽しそうな声が聞こえて、リビングのドア開けたらスミレに馬乗りの秋と倒れた脚立があって……』


「あぁ……!」


顔は見えないけど、嫌な事を思い出させてしまったと少し胸が痛む。
それでもケリをつけないと先には進めない気がした。


『頭では分かってた、つもりだった。
脚立から落ちて、無謀にもスミレが受け止めようとしたんだって。
あの時の俺は、醜い嫉妬の塊だったから。
羨ましかったし、笑顔の輪の中に交ざりたいとも思った。でも、バカな俺は二人を傷つけて一人で悲劇のヒロインゴッコしてた。
たぶんかまって欲しかったんだと思う。
子供が母親の気を引くみたいに、俺は二人にかまって欲しかったんだろうなって
 あの時言えなかったけど、すごい嬉しかった。ありがとう。』


言い終わって照れ臭いのと恥ずかしいので俯いた。
 足元に落ちた涙を、得意の見ない振りで交わし、自分だけ許されようとしてる。


「確かにバカだな。俺もあの時ほっとけばよかったのに、晴斗の顔みたら誤解解かなきゃって必死で、言い訳してる自分に気づいた時にはもう遅くて。
余計に煽って晴斗を傷つけたのは俺だし。
 因みに、くす玉の言い出しっぺは俺だから」


『あのくす玉ちっちゃかったけど、凄い嬉しかった。』


「嘘つけ!あん時の空気最悪だったぞ?」


『確かに。あんな空気にしたのも俺だし、でも心の中ですごい感動したし
めちゃくちゃ嬉しかった。
それこそ涙がでるほど……?』


鼻を啜ると、「なんだそれ」と笑った秋が俺の顔を見てさらに笑った。


「マジで泣いてる~っ!」


『ハァ~~、こんな話ししに来たんじゃないんだけどなぁ』


苦笑いしてると「ほら、鼻かめ」


『あぁ、悪い』