腕で目を覆いながら、息を吐いた。
倒れた原因は分からないけど、秋を見てホッとしたのはハッキリと覚えてる。


『心配してるよな……』


そう考えただけで嬉しくなる事を初めて知った。


『ハァーー……』


急に布団が軽くなり、腕を上げると寝ぼけ眼の秋がこっちを見て目をシバつかせていた。


「……晴斗」


 俺の顔を見てホッとしたのか、「良かった」と呟き微笑むと、また眠ってしまった。


『フッ』


笑いながら心の中で『ありがとう』と礼を言い秋の頭をポンポンと撫でた。
起きたらちゃんと言わないとな。


「もう少し寝てたら?この時間は誰も来ないし」


様子を見にきた先生に一応『はい』と返事をしたものの、目を閉じても眠れそうにはなかった。
 電話してみようかな?
ケータイを開きスミレの番号を表示したままで、通話ボタンを押すだけなのに、そのあとがスムーズに行かなかった。


「掛けないのか?」


『へっ!?』


声のした方を見ると、眠ったはずの秋が目だけで俺を見ていた。


「スミレ心配してたぞ? 状況説明したかったけど、お前運ぶので精一杯で……後でかけ直すって言ったっきりだからっ」


うんと腕を伸ばしアクビをすると、まだボーッとした顔で俺を見た。


『迷惑かけてごめん。あと、ありがとうな?』


微笑すると、照れ隠しなのか頭を掻き、「いいよ。驚いたけど、無事でよかった」
。」と安心した顔を見せた。