いとこ ~2度目の初恋~

「その人がいたから、私でいられたのかもしれない。こんな事、相手には言えないけどね」


『恥ずかしいから?』


「それもあるけど、拓海の事だから絶対抱きついてくるに決まってる!そんな事されたら、いくら許嫁とはいえこの学校に居られなくなるもの」


『許嫁……先生の側に居てくれた人って、男の人なんですね?』


「男の人って言うか、男の子?」


『……え?』


「ここの生徒よ?確か、君と同じ学年だったと思うけど……」


『そう、なんですか?』


普通に答えてるけど、頭の中は色んな想像が飛び交いグチャグチャだった。
 自分の悩みを忘れてしまうほど、衝撃的だった。


「もしかしたら、会ってるかもね?学校って意外と狭いから」


イタズラな笑みを浮かべる先生に苦笑を向けると、「逃げるも勇気、向き合うも勇気ってね?」の言葉が聞こえた。


「君も向き合って見たら? 怖いかもしれないけど。私も頑張るから」


『そうしてみます。』


先生は満足したのか、ニッコリ笑い立ち上がったのを見て、自分も身体を起こした。
 振り向くと、自分の唇に指を当て「ここで話した事、誰にも話さないでね?特に許嫁の話し!」


『あ、はい』


強く念を押れ、なぜ話したんだろうと半ば呆れていた。


「うん、いい返事だ!」


何がしたかったのか、またイタズラな笑みを浮かべ、近づいて来るなり髪の毛をクシャクシャにされた。 


『うっ……!』


 何も知らないとはいえ、こうも偶然が重なると少しの我慢も出来なくなるらしい。


『ズルいです』


「えっ!?ちょっ……と?」


『今の俺にそんなことしたら……』


 気づくと、先生の腰に腕を回し抱き寄せていた。


『先生、俺の好きな人と同じ事しないでください。 理性が保てなくなる』


「え、私、何かした?」


『しましたよ。……先生って柔らかいんですね?』


「えっ?!」


心音が早くなっていくのを聞きながら、目を閉じ少し腕に力を入れると、先生の体がピクリと動いた。


『ハァー、その人にもこう出来れば良いんだけど。ごめんなさい』


腕を解くと、耳まで真っ赤にしながら「ビックリした……!」と呟いた。


『先生?顔、赤いですよ』


ニッコリ笑うと、頬を両手で抑え分かり易く動揺しながら、その場を去っていった。
 悪戯返しを終え、ベッドに横になるとそっと目を閉じた。