いとこ ~2度目の初恋~

『ある人に言われたんです、本気でぶつからないのは失礼だって。
 俺はただ退屈な毎日を過ごせればいいって思ってて、それって自分しか見えてないって事で……
自然と見てみぬフリを覚えて、ついでのように自分の心も見ないフリして、なんか最低で最悪だなって。
 誰にも言えないから、また見ぬフリをしようとしてたんです。卑怯者なんです、俺。
人と関わるの避けて来たから、那にも気づけなくて、感情を出すなんてすごい久々で。
 笑うようになったのもつい最近で……。
告白も、友達も、初恋の人の事とか一度に起こられても心が付いていかなくて……』


捲し立てるように言うと、優しい声が降ってきた。


「それで?」


『それで、余計に嫉妬したりして。』


目を閉じると、秋の笑顔が浮かんだ。


「なんか、羨ましいなぁ」


『その慰めは好きじゃないです』


「ごめん。私もそのくらい誰かに嫉妬してみたいなぁ」


『自分に無いものを沢山持ってるから、羨ましくて、悔しくて。真似したらきっとなれるんだろうなぁとは思うけど、結局は偽りの自分で』


「隣の芝生は青かった?」


『きれいな緑色ですよ。それでも、俺に頼ってくれたのは嬉しかったですけど……。』


「そっか」


その言葉のあと急に黙る先生が気になり目を開けると、遠い目をしていた。


『何を思い出してるんですか?』


「ん~?私も君と同じで、姉がコンプレックスで。才色兼備で非の打ち所がない完璧な女性だったから。張り合おうなんて気持ちすら沸かなかった、いつも姉には適わなかったから……。
 だから、キミの気持ち少しは分かるつもりよ? ただ、一つだけ違うのは、私には話せる相手がいた事くらいかな?」


ニッコリ笑った顔はどこか哀しげに見えた。