いとこ ~2度目の初恋~

『他にやる事ないんですか?』


「無いこともないけど、怪我人優先だから」


『怪我人?俺しかいないはずだけど……。』


小首を傾げる俺をみてまた笑う先生は、フゥーと息を吐くと、「嫌な事でもあった?」と聞いてきた。


『ないですよ?』


だって、あの場から逃げたかったのは俺じゃなくて東雲の方だ。


『コンプレックスって、ありますか?』


「随分唐突ね。ないように見える?」


『はい。」


「即答過ぎない?コンプレックスかぁ。
 その話しとはちょっと違うかもしれないけど。私のやり方は合ってるのかなぁって、毎日考えてる。
 悩みを打ち明けて欲しくて、話しかけて欲しくて、仲良くなりたくて色々勉強して試したりしてるんだけど、正解がないから。君みたいな子がくるとちょっドキドキする」


『さっきの怪我人って、俺ですか?』


「そう!入っ時ビックリしちゃった。また誰か体長でも崩したのかなぁって思ってたら、いきなり“あぁークソ”だもの」


クスクス笑う顔から目の前の窓に目を向け、そのままベッドに寝そべった。
投げ出した脚がひんやりと冷たい床に当たる感触を確かめながら、『幼なじみがコンプレックスって、どう思います?』
 どうしてそんな話しになったのか、なぜか素直に話せた。


「妬いちゃうほど羨ましいんだ?」


『え?』


どこかで思っていた言葉を言われ、ドキッとした。


「図星?」


『はい』


 全てが落ち着かない。
頭の後ろに両手を回し、自分の思っていることを吐き出すかのように唇を動かした。