「喉乾いた……」


上半身を起こした秋に水を渡すと突っ返された。


「これじゃないのが飲みたい」


『はいはい。水が嫌だって子供じゃないんだから……』


袋からスポーツドリンクを渡し、飲んでいる間にまだ湯気の立つお粥を茶碗によそいながら、秋に話そうか迷っていた。話した所でどうにかなるわけでもないし、はぐらかされたらそれまでだ、俺は頭が可笑しいと思われて終わる。


『いや、それは困る』


「何が?」


『ん?あぁ、何でもない』


『ほら』お粥とスプーンを渡すと、ゆっくりと食べ始めた。


『無理すんなよ?』


「うん」


 その返事を聞きながら窓に近寄った。 秋がいるから窓は開けられないけど、未だ振る雨を眺めることは出来た。


「なんか、あった?」


『なんで?』


「ハルが悩んでる時とか、考え事してる時、いつも空見てるから。」


『そう言われるとそうかも……。
悩みか……それならついさっき理解できない事が起こったけど、秋が赤面するないようだな。
それに、まだ整理がついてない部分もあるし……』


「そういう言い方されると、逆に気になる」


『そのうちな』


 時期が来たらちゃんと話すよ。
過去形なのか、進行形なのか分からないお前に対する気持ちも含めて。


「うん……ハル、薬」


『もういいのか?』


「後で食べるから残しといて」


『分かった』


茶碗とスプーンを受け取り、テーブルに置くと、薬を渡した。
 ちゃんと飲み込んだのを確認してから、再び秋を布団に潜らせた。