『いつも笑ってればいいのに』


「え?」


『泣いてるか、傷ついてる顔の印象が強いから余計にそう感じるのかもしれないけど、東雲の笑顔可愛いなって。』


「あっ……」


『秋がいたら嫉妬してるだろう』


「……そうやって無意識に遠ざけるの、やめてください。」


そう言った横顔は怒ってるようにも、傷ついてるようにも見え『ぁ、ごめん』と謝った。
そしてなぜか『なぁ、東雲からみた俺ってどんな奴?』そんなことを聞いていた。


「どんなって、急に言われても……」


『フッ、まぁ確かにそうだよな』


それでも東雲は真剣に考えて、答えてくれた。


「えっと、しゅ、長門くんと一緒に居るときの晴斗くんは遠慮してる気がする」


俺の様子を伺いながら、言葉を選び答える声に黙って相槌を打つ。


『うん』


「それから、時々怖い顔でじっと何かを見つめてたり……クラスに馴染んでるように見えるけど、誰かと話してる姿もあまり見ないし。
 あっ!私の友達が話しかけたいけど、近寄らせない雰囲気が出てるから話しかけづらいって。」


東雲の話を聞きながらよく見てるなぁと、関心していた。


『そっか……。』


「あと、晴斗くん気づいてなさそうだから言うけど、秋くん時々寂しそうな顔で晴斗くんの事見てる時があって。
かまって欲しそうにジッと見てたり。
 そんな時に限って目が合ったりして、いつも元気な秋くんがそんな時だけ無理して笑うから、余計なお世話なのは分かってるんだけど、やっぱり気になって」


『うん。』


「……避けるのは卑怯だと思う。もう少し、長門くんに心開いてもいいと思うな?」


 雨でかき消されそうな声に耳を澄ませ、シュンとしてる姿を横目に『なんか俺、すげ~嫌な奴だな?』苦笑い混じりに言うと、傘の向こうから上目遣いの東雲が覗いた。


「……怒ってる?」


『怒ってないよ。怒るとしたら自分にかな?』


「私の事、嫌いになった?」


コロコロ変わる表情を見ていると、飽きないし、一途でいい子なんだろうけど、そう言う対象に見れないのは、やっぱまだ好きなんだろうか?
 秋が東雲を好きになった理由が何となくだけど分かった気がした。


『東雲っておもしろいな』


「え?あの……」