その日は一日中スミレのことを考えていた。
大事な授業も全く頭に入らず、真っ白なノートと空を交互に眺め、後で秋にノートを借りようと思っている間に一日の大半が終わってしまった。
────その日の帰り、秋に誘われ一緒に帰ることになった。
学校の正門をでた辺りでそれまで元気だった秋の様子が一変した。
「はると~……」
『なに?』
「おんぶして」
『なんで?』
フラフラ近づいてくる秋は、小さな石コロに躓き転びそうになっていた。
「うっ!」
『っと、大丈夫か?』
いつもなら躓いたりしないのに。
「ナイスキャッチ……」
親指を立てうまく笑えてない顔が少し赤く、受け止めた身体が震えていた。
『大丈夫か?』
「うん、ちょっとダメっぽい……」
身体を支えたままおでこを触ると、誰が触っても熱があると分かるほど熱かった。
喉まで出かかった(我慢し過ぎだろ。)の言葉を飲み、身体を起こした。
「おんぶ……歩くのダルい」
『いつから?』
「なにが?」
『いつから具合悪かった?』
「んーと……結構早くて、二限目が終わる頃だったかな?昨日少しダルくて。
今日起きたら頭痛かったんだけど、すぐ治るだろって思って……。
ごめん。迷惑かけたくなかったから……」
『馬鹿か?』
「ごめんなさい」
やけに素直な秋に、さっき出かかった(我慢し過ぎだろ!)がまた浮かんだ
『ハァー……ったく、ほら』
背を向けしゃがむと、一気に体重がのしかかってきた。
「晴斗、怒った?」
『よいしょっ! ん、怒ってる』
立ち上がると、秋と自分のカバンを持ち、家路を急いだ。
『思ったより重いな』
「フフッ。晴斗のそんな所が好き」
熱がある時まで冗談を言うのかと呆れながらも、どこかで“秋らしい”と思った。体力も限界なはずなのに、弱いとこを見せたがらない秋なりの精一杯の強がりなんだろう。
『無理しないで寝てろ』
「うん、あいがとう……」
どうして急に風なんか?
雨に濡れてたら誰かが気づくはずだし。
……そういえば、昨日帰ってきてから様子が変だったような?近くに居たのに全然気づかなかった……。
自分の事で精一杯で、秋の様子が変なのはスミレが居るからだって勘違いして、ホントバカだ俺。
大事な授業も全く頭に入らず、真っ白なノートと空を交互に眺め、後で秋にノートを借りようと思っている間に一日の大半が終わってしまった。
────その日の帰り、秋に誘われ一緒に帰ることになった。
学校の正門をでた辺りでそれまで元気だった秋の様子が一変した。
「はると~……」
『なに?』
「おんぶして」
『なんで?』
フラフラ近づいてくる秋は、小さな石コロに躓き転びそうになっていた。
「うっ!」
『っと、大丈夫か?』
いつもなら躓いたりしないのに。
「ナイスキャッチ……」
親指を立てうまく笑えてない顔が少し赤く、受け止めた身体が震えていた。
『大丈夫か?』
「うん、ちょっとダメっぽい……」
身体を支えたままおでこを触ると、誰が触っても熱があると分かるほど熱かった。
喉まで出かかった(我慢し過ぎだろ。)の言葉を飲み、身体を起こした。
「おんぶ……歩くのダルい」
『いつから?』
「なにが?」
『いつから具合悪かった?』
「んーと……結構早くて、二限目が終わる頃だったかな?昨日少しダルくて。
今日起きたら頭痛かったんだけど、すぐ治るだろって思って……。
ごめん。迷惑かけたくなかったから……」
『馬鹿か?』
「ごめんなさい」
やけに素直な秋に、さっき出かかった(我慢し過ぎだろ!)がまた浮かんだ
『ハァー……ったく、ほら』
背を向けしゃがむと、一気に体重がのしかかってきた。
「晴斗、怒った?」
『よいしょっ! ん、怒ってる』
立ち上がると、秋と自分のカバンを持ち、家路を急いだ。
『思ったより重いな』
「フフッ。晴斗のそんな所が好き」
熱がある時まで冗談を言うのかと呆れながらも、どこかで“秋らしい”と思った。体力も限界なはずなのに、弱いとこを見せたがらない秋なりの精一杯の強がりなんだろう。
『無理しないで寝てろ』
「うん、あいがとう……」
どうして急に風なんか?
雨に濡れてたら誰かが気づくはずだし。
……そういえば、昨日帰ってきてから様子が変だったような?近くに居たのに全然気づかなかった……。
自分の事で精一杯で、秋の様子が変なのはスミレが居るからだって勘違いして、ホントバカだ俺。


