すみれが来なくなったのは、俺と秋が中学に上がって暫くしてからだった。
互いの両親が、旅行は交互に行こうと決めて以来あまり来なくなってしまった
「見ないうちに大人になって」
『スミレも、綺麗になった』
オウム返しのように、似た言葉を返すと、友紀ちゃんとスミレが目を合わせて笑った。
「お世辞なんて覚えちゃって!!」なんて言ってたけど、僕は心からそう思った。
だってスミレは、僕の初恋の人だから……。
もう会うことがないと思い、諦めた初恋。告白なんて出来ないからずっと、遠巻きに見てた。なのに、こんなタイミングで再会するなんて。
「ハル、こっち座って話そうよ?」無邪気に笑うスミレの誘いを断り、リビングを出ると階段に足をかけた。
スミレに会えて嬉しいのに、僕の胸はドキドキではなくモヤモヤしていた。
この気持ちの正体がなんなのか、何か引っかかってる気がして、あの頃の記憶を辿っていると、突然頭に鈍い痛みが走った。
『ん"っ……』
二人に気づかれぬよう階段をかけ上がり、部屋の前まで来るとドアに体重を掛けドアノブを捻った。
──バタンッ──
背中でドアを閉め、その場にカバンを落としベッド倒れた。
『んー……なんだ、これ』
暫くして鈍い痛みは消え、恐怖心だけが残った。
『何だったんだろう?今の痛みは……』
暫く仰向けのまま目を瞑り、階下から時折聞こえる笑い声を聞いてるうち、安心したからなのか、眠ってしまった。
互いの両親が、旅行は交互に行こうと決めて以来あまり来なくなってしまった
「見ないうちに大人になって」
『スミレも、綺麗になった』
オウム返しのように、似た言葉を返すと、友紀ちゃんとスミレが目を合わせて笑った。
「お世辞なんて覚えちゃって!!」なんて言ってたけど、僕は心からそう思った。
だってスミレは、僕の初恋の人だから……。
もう会うことがないと思い、諦めた初恋。告白なんて出来ないからずっと、遠巻きに見てた。なのに、こんなタイミングで再会するなんて。
「ハル、こっち座って話そうよ?」無邪気に笑うスミレの誘いを断り、リビングを出ると階段に足をかけた。
スミレに会えて嬉しいのに、僕の胸はドキドキではなくモヤモヤしていた。
この気持ちの正体がなんなのか、何か引っかかってる気がして、あの頃の記憶を辿っていると、突然頭に鈍い痛みが走った。
『ん"っ……』
二人に気づかれぬよう階段をかけ上がり、部屋の前まで来るとドアに体重を掛けドアノブを捻った。
──バタンッ──
背中でドアを閉め、その場にカバンを落としベッド倒れた。
『んー……なんだ、これ』
暫くして鈍い痛みは消え、恐怖心だけが残った。
『何だったんだろう?今の痛みは……』
暫く仰向けのまま目を瞑り、階下から時折聞こえる笑い声を聞いてるうち、安心したからなのか、眠ってしまった。


