あれから3日が経ち、予想通り荷物の山は綺麗に収納され無くなった。
 その日の帰り道、秋より先に教室を出て晴れた空から逃げるように日陰を歩いた。 妙な事に、この所晴れ間が続いてるせいか、少々気分が落ち着かない。
 誰が言ったか、レイニー・タウンの名のとおりこの街はよく雨が降る。
生まれた時から雨は降っていて、傘が手放せなくて時々嫌気が差すけど、俺はキライにはなれなかった。


 それ以上に気になる事が1つあった、晴れてからあの少女に会っていない。通りかかると必ずと言っていいほど居たあの場所に、ここ最近姿を見せなくなっていた。
 雨が降ると溜まるコンクリートの窪みを足で蹴り、もしかしたらと30分程粘ってみたが、今日もダメだった。


『ただいま』


玄関を開け、気の抜けた声を出すと、見かけない靴が目に入った。
 いつもは気にならないのに、リビングへと続く扉が今日はやたらと気になってしかたがなかった。
 ドアノブを捻り、ゆっくり開けると──


「おかえりなさい!」


そこにいたのは、笑顔の友紀ちゃんと綺麗な女の人だった。その綺麗な人は、僕に手を振り「ハル久しぶり~」と言った。


『ハル……あ、スミレ?』


名前を呼ばれ嬉しそうに頷くスミレは僕より5つ上の大学生で、俺と秋が小学生の頃から何かと面倒を見てくれていたいとこだ。
 二人の両親が旅行で居ないときはスミレと秋が櫻井家に泊まり、夜更かしをしてドキドキしていた。