部屋に入ると窓から差す明かりを頼りに瓶をテーブルに置き、窓を開けた。
暗い部屋をさっきより傾いた月が照らし、その明りを頼りに机の奥にしまって置いた線香花火をスミレに見せた。
『スミレとしたくて、隠しておいた』
「ふふっ」
納得したようにベランダに近寄ると、花火を小脇に抱え、水の入った瓶と共にスミレの隣に座った。
──コトンッ
コンクリートに小さく響くガラスの音に、少しワクワクしながらスミレと過ごす最後の夏を思い返していた。
来年は今日以上に楽しい日になる事を期待しながら、スミレの横顔を見つめた。
色んな事があった今日も、あと一時間半で終わる。今日が終われば、またスミレとは離れ離れだけど、会おうと思えばいつでも会えるし。
『……!』
スミレの指に、月明かりで輝く指輪が力強く光っているのを見て頬が緩んだ。
早く大人になりたいと思うけど、スミレの隣を歩いても恥ずかしくない男になりたいとも思う。
「今日は楽しかったね? ハプニングはあったけど……楽しかった」
不意に紡がれた言葉に慌てて正面を向いた。
『来年はもっと楽しくなるよ』
「うん」
『スミレ』
「ん?」
『…好きだよ。』
まだ慣れない言葉にクスクスと笑い声が聞こえる。
火照った顔を夜風が冷やし、持ってきたロウソクに火を灯し花火の続きをした。
「私も好きだよ」
『ぅん。』
小さな火花がパチパチと音を立て弾け、かすみ草を逆さまにしたような線香花火が、最後に小さな玉を作り消えていく前に『来年もこうして花火ができますように』と願いを懸けた。
「来年も二人で花火出来るといいな~」
同じことを思っていると知る度に、どうしようもなく嬉しさが込み上げ『また……』好きになる。
「どうしたの?」
『ん?なんでもない。来年もしような?線香花火。』
小さく頷き、花火に夢中な横顔に『ちゅっ!』とキスをした。
「っ……!!」
驚くその顔を見たくて、照れて俯く姿が見たくて「バカ」と呟く声が聞きたくて、つい意地悪をしてしまう。
それでも、俺にキスされるのを待ってる彼女が、俺は子供の頃からどうしようもなく
『スキだ……』
暗い部屋をさっきより傾いた月が照らし、その明りを頼りに机の奥にしまって置いた線香花火をスミレに見せた。
『スミレとしたくて、隠しておいた』
「ふふっ」
納得したようにベランダに近寄ると、花火を小脇に抱え、水の入った瓶と共にスミレの隣に座った。
──コトンッ
コンクリートに小さく響くガラスの音に、少しワクワクしながらスミレと過ごす最後の夏を思い返していた。
来年は今日以上に楽しい日になる事を期待しながら、スミレの横顔を見つめた。
色んな事があった今日も、あと一時間半で終わる。今日が終われば、またスミレとは離れ離れだけど、会おうと思えばいつでも会えるし。
『……!』
スミレの指に、月明かりで輝く指輪が力強く光っているのを見て頬が緩んだ。
早く大人になりたいと思うけど、スミレの隣を歩いても恥ずかしくない男になりたいとも思う。
「今日は楽しかったね? ハプニングはあったけど……楽しかった」
不意に紡がれた言葉に慌てて正面を向いた。
『来年はもっと楽しくなるよ』
「うん」
『スミレ』
「ん?」
『…好きだよ。』
まだ慣れない言葉にクスクスと笑い声が聞こえる。
火照った顔を夜風が冷やし、持ってきたロウソクに火を灯し花火の続きをした。
「私も好きだよ」
『ぅん。』
小さな火花がパチパチと音を立て弾け、かすみ草を逆さまにしたような線香花火が、最後に小さな玉を作り消えていく前に『来年もこうして花火ができますように』と願いを懸けた。
「来年も二人で花火出来るといいな~」
同じことを思っていると知る度に、どうしようもなく嬉しさが込み上げ『また……』好きになる。
「どうしたの?」
『ん?なんでもない。来年もしような?線香花火。』
小さく頷き、花火に夢中な横顔に『ちゅっ!』とキスをした。
「っ……!!」
驚くその顔を見たくて、照れて俯く姿が見たくて「バカ」と呟く声が聞きたくて、つい意地悪をしてしまう。
それでも、俺にキスされるのを待ってる彼女が、俺は子供の頃からどうしようもなく
『スキだ……』


