いとこ ~2度目の初恋~

  二人の姿が街灯の下を通りすぎると、入れ替わりに秋が姿を現した。
秋は俺を見つけると、手を上げ駆け寄ってきた。


『今まで一緒に居たのか?』


「うん。」


『そっか』


「水沢にあったけど、二人来てたんだ」


『うん。帰りにバッタリあって、無理矢理連れてきた。』


「そっか」


『うん。で、俺が聞くのもあれだけど……どうだった?』


 少しの間が空き、秋が口を開いた。


「告白、したよ?ハル達と別れてから会場の近くで花火見て、また神社戻って。
疲れて寝ちゃった飴ちゃんおんぶして家まで送って。
 東雲家の近く歩きながら色々話して、どさくさに紛れて晴斗の事どう思ってるのか聞いた……。」


 俺たちが花火をしてる頃、秋は東雲の気持ちを確かめてて、そんな事知らずに花火でハシャいでいたのを思い返して申し訳なくなった。


「まだ好きだけど、前ほどじゃないって。「告白した時が100%だとしたら、今は50%くらい?」ってなんだよそれ
「減った50%は気になる人で埋ってて」って言われてもさ……。
 俺の入る隙間なんかありませんよーって言われてる気がして、誰なのか聞いたけど最後まで教えてくれなかった。
 ……んで、迷ったけど、告白した。
すごい驚いてたけど、しばらく考えたいって言われた。」


『そっか……』


「その後どうやって帰ってきたんだろう?
東雲になんて言って帰ってきたのかすら覚えてない……」


タメ息を吐きながら、遠くを見つめる秋は相当ダメージを受けているらしかった。
そんな秋に俺も告白をしたんだと言い出せず、その日は別れた。
 ──玄関を開けるとスミレが切ない顔で立っていた。


『……今の、聞いてた?』


「うん。」


『そっか。秋の方はまだ掛かるっぽい……』


少しの罪悪感は残るものの、東雲の中にいる50%の気になる人が秋であれと、身勝手な祈りに似た願いを心の中でしていた。
 普段着に着替えリラックスしてるのは洋服だけで、スミレの表情は引きつっていた。
 不安を解くため頭を撫でると、首をすくめた。


『あ、陽向さんがよろしく伝えてくれって。』


「そう」


『じゃあ、花火の続きでもするか?』


「え?もう全部しちゃったんじゃ?」


 スミレの手を引き、階段に足を掛けたと同時に友紀ちゃんが水の入った瓶を渡してきた。


『ん?』


「火事にしたら許さないから。」


『……あ、はい。』


 何故バレたのか、瓶を受取り改めて階段を上がった。