──少しずつ見えてくる花火のかけらを追い、気づけば校内の一番端まで来てしまっていた。
少しだけ小さくなった花火を嬉しそうに見るその横顔を見つめていると、視線に気づいたのか、優しく微笑む顔にまた見とれてしまう。
「なに?」
『っいや、嬉しそうな顔が見れて良かったっなって。
……俺さ、ここに来るまでいろんな事考えてバカみたいに悩んで、寄り道もしすぎなくらいして……場所とかタイミングとかシチュエーションばっか気にして。
スミレはそんな事望んでないのにって。
……急にごめん、先走りすぎた』
そんな俺の話しを真剣に聞きながら、「うん」と頷いてくれた。
『東雲にさ、告白されたって話したの覚えてる?』
コクンと頷くスミレの瞳が、スッと逸れた。嫌なこと思い出させたかな?
『放課後、さっきの教室で告白されたんだ。それまで全然気づかなくて、自分の鈍感さに呆れるくらい
どんな気持ちでとか、どのくらい俺を思っててくれたのか、とか考える暇もなくてさ。
断った後に色々考えちゃって、ずっと同じペースで生きてきたから気持ちが付いていかなくて、変に避けたり、使わなくてもいい気を使ったりして。
それが余計だって知らなくて、秋も東雲
の傷つけて……スミレの気持ちからも逃げようとしてた。』
窓に自分の姿が映り、何をしてるんだろうと現実に戻りながらも、どうしても伝えたかった。
きっと文章にはなってない言葉だけど、次にいつ会えるか分からないから……最後まで伝えないと。
『 突然諦めた初恋の人が前触れもなく現れて、その人がまた綺麗になってて……でも話すと何も変わって無くて。
ホッとして、ドキドキしてるのに気づいて自分はまだ諦めてないんだなって。
一度諦めてるから、初恋じゃないよな?
とか。
知らないうちに傷つけて、後悔して傷ついて、なんでこんな気持ちにならなくちゃいけないんだろう?って思う度、スミレのこと思い出してやっぱ好きだって……
名前呼ばれて、笑いかけられる度そんな悩みは吹っ飛んでて……』
今日までの出来事がアルバムをめくるスピードで溢れだし、つい笑ってしまった。
驚いて、笑って、ドキドキして、また驚いて、傷ついて……。
窓に背をもたれ、チラリとスミレを見遣ると、うち上がる花火に目を輝かせていた。カラフルに染まるスミレはやっぱ綺麗で、話すタイミングを失いそうだった。
『花火、そろそろ終わるかな?』
「うん……」
寂しそうな声をだすスミレを後ろから抱きしめ、深呼吸をした。
驚くスミレの方に顔を埋め、フーっと息を吐き顔をあげ、小さな耳に言えなかった言葉を呟いた。
スミレはきっとズルいって言うかもしれないけど……──
『ずっと……ずっと好きでした。
俺と付き合ってください。』
ピクリと反応した後、スミレは黙ったままなにも返してはくれなかった。
『やっぱり俺じゃダメ?……っ……』
なにも言わないスミレに不安だけが押し寄せ、抱き締めていた腕を緩め少し後ずさった……。
窓の外ではクライマックスを迎えた花火が次々にうち上がり、空が煙で白くなりゆっくりと風に流されていく。
『……俺…』
なんて言えばいいか分からず、ただ俯きキツク拳を握っていた。
怖くて逃げてしまいたくなる。
「……離れないで?怖いから」
少しだけ小さくなった花火を嬉しそうに見るその横顔を見つめていると、視線に気づいたのか、優しく微笑む顔にまた見とれてしまう。
「なに?」
『っいや、嬉しそうな顔が見れて良かったっなって。
……俺さ、ここに来るまでいろんな事考えてバカみたいに悩んで、寄り道もしすぎなくらいして……場所とかタイミングとかシチュエーションばっか気にして。
スミレはそんな事望んでないのにって。
……急にごめん、先走りすぎた』
そんな俺の話しを真剣に聞きながら、「うん」と頷いてくれた。
『東雲にさ、告白されたって話したの覚えてる?』
コクンと頷くスミレの瞳が、スッと逸れた。嫌なこと思い出させたかな?
『放課後、さっきの教室で告白されたんだ。それまで全然気づかなくて、自分の鈍感さに呆れるくらい
どんな気持ちでとか、どのくらい俺を思っててくれたのか、とか考える暇もなくてさ。
断った後に色々考えちゃって、ずっと同じペースで生きてきたから気持ちが付いていかなくて、変に避けたり、使わなくてもいい気を使ったりして。
それが余計だって知らなくて、秋も東雲
の傷つけて……スミレの気持ちからも逃げようとしてた。』
窓に自分の姿が映り、何をしてるんだろうと現実に戻りながらも、どうしても伝えたかった。
きっと文章にはなってない言葉だけど、次にいつ会えるか分からないから……最後まで伝えないと。
『 突然諦めた初恋の人が前触れもなく現れて、その人がまた綺麗になってて……でも話すと何も変わって無くて。
ホッとして、ドキドキしてるのに気づいて自分はまだ諦めてないんだなって。
一度諦めてるから、初恋じゃないよな?
とか。
知らないうちに傷つけて、後悔して傷ついて、なんでこんな気持ちにならなくちゃいけないんだろう?って思う度、スミレのこと思い出してやっぱ好きだって……
名前呼ばれて、笑いかけられる度そんな悩みは吹っ飛んでて……』
今日までの出来事がアルバムをめくるスピードで溢れだし、つい笑ってしまった。
驚いて、笑って、ドキドキして、また驚いて、傷ついて……。
窓に背をもたれ、チラリとスミレを見遣ると、うち上がる花火に目を輝かせていた。カラフルに染まるスミレはやっぱ綺麗で、話すタイミングを失いそうだった。
『花火、そろそろ終わるかな?』
「うん……」
寂しそうな声をだすスミレを後ろから抱きしめ、深呼吸をした。
驚くスミレの方に顔を埋め、フーっと息を吐き顔をあげ、小さな耳に言えなかった言葉を呟いた。
スミレはきっとズルいって言うかもしれないけど……──
『ずっと……ずっと好きでした。
俺と付き合ってください。』
ピクリと反応した後、スミレは黙ったままなにも返してはくれなかった。
『やっぱり俺じゃダメ?……っ……』
なにも言わないスミレに不安だけが押し寄せ、抱き締めていた腕を緩め少し後ずさった……。
窓の外ではクライマックスを迎えた花火が次々にうち上がり、空が煙で白くなりゆっくりと風に流されていく。
『……俺…』
なんて言えばいいか分からず、ただ俯きキツク拳を握っていた。
怖くて逃げてしまいたくなる。
「……離れないで?怖いから」


