──学校までの距離を無言で歩いた。
それは全然楽しくなんかなくて、ただ胸が痛いだけだった。
黙って泣いて、気づかれないようタメ息を吐いた。
「晴斗」
名前を呼ばれただけで胸が痛む。
『な……』
鼻声なのに気づき、口を噤んだ。
「晴斗?怒ってる」
それに対して首を左右に振った。
「よかった……。」
安堵の言葉になぜか胸がズキッとした。
「……こっち向いて欲しいんだけど、ダメかな?」
『っ……。』
ちっぽけなプライドが顔をだし、頷いてしまった。
「そっか……」
俺が悪いのに。スミレが傷ついてるのを隣で感じながら何も出来ないなんて。
『ハァー……』思わず出たタメ息に繋がれた手がピクリと反応した。
「私、また無意識に晴斗のこと怒らせてた?」
『違っ……』
「晴斗?」
『怒らせたんじゃなくて、ヤキモチ妬いただけ。鼻声なのはカッコ悪いって言うかもしれないけど、自分が情けなくて泣いたからで……スミレのせいじゃないから』
「ヤキモチ……晴斗はヤキモチ妬かないと思ってた。」
『顔にでないからそう見えるだけで、ずっと……』
嫉妬してた。
小声で呟くと、スミレが耳を寄せてきた。
「聞こえない」
『聞かなくていいから。行くぞ?早くしないと今年は花火見ずに終わるから』
少し不機嫌な声を出すと、スミレは嬉しそうに笑いながら素直についてきた。
『……。』
「ねえ、学校の中って見れたりするかな?」
『どうかな?先生まだ残ってるといいんだけど』
「もっと早くにも無理そうだったしね」
苦笑いを浮かべ、今日ここまでの事を思い返し、同じく苦笑いした。
『確かに。二人で来ればよかったんだろうけど……』
そんな事を言う勇気すらあの時には無かったし。
「来年は二人で来よう?」
照れながらも真剣な眼差しに、考える時間なんて要らなかった。
『うん。』
来年の約束に胸を踊らせ、顔を見合わせ互いに笑った。
このまま好きだと言えそうな空気が流れ
どうしようか迷っている自分がいた。
タイミングはいくらでもあったし、スミレが作ってくれた。その度に逃げて先送りにしてきたけど、今がその時なんだと口を開いた時、スミレが俺の服を引っ張った。
『どうした?』
「誰かきた……」
人影を見つめ俺の後ろに後ずさるスミレと、見覚えのある人影に目を凝らすと数学の先生だった。
こんな時間に何してるんだろう?と思ったすぐ後で、俺達も相手からしたらそうだなと思った。
『先生?!』
「おお!こんな所でなにしてんだ?花火始まってるぞ、見に行かないのか?」
近くまで来て立ち止まる先生は後ろをチラッと見て納得したように頷き笑った。
『人混みに行くのが嫌で、逃げてきました。先生は何してるんですか?』
「色々とあるんだよ、先生は!」
そう言ってポンッと肩を叩き俺たちを追い越した。
『あ、あの!中って入ったら不味いですか?』
「職員室に何人かいるから、声かけてみろ?俺に承諾得たってダメもとで言ってみろ?!」
『はい!ありがとうございます』
「変なことするなよ~?」
『……はーい。』
手を振りどこかへ行ってしまった先生が出てきた場所から中へ入ると、言われた通り職員室に向かった。
その道中、スミレが後ろを振り返りながらあの人は?と聞いてきた。
数学の先生だと話すと頷いた後、なにか気になったのか何度か振り返っていた。
「変わった先生だね?」
『まあな』
それは全然楽しくなんかなくて、ただ胸が痛いだけだった。
黙って泣いて、気づかれないようタメ息を吐いた。
「晴斗」
名前を呼ばれただけで胸が痛む。
『な……』
鼻声なのに気づき、口を噤んだ。
「晴斗?怒ってる」
それに対して首を左右に振った。
「よかった……。」
安堵の言葉になぜか胸がズキッとした。
「……こっち向いて欲しいんだけど、ダメかな?」
『っ……。』
ちっぽけなプライドが顔をだし、頷いてしまった。
「そっか……」
俺が悪いのに。スミレが傷ついてるのを隣で感じながら何も出来ないなんて。
『ハァー……』思わず出たタメ息に繋がれた手がピクリと反応した。
「私、また無意識に晴斗のこと怒らせてた?」
『違っ……』
「晴斗?」
『怒らせたんじゃなくて、ヤキモチ妬いただけ。鼻声なのはカッコ悪いって言うかもしれないけど、自分が情けなくて泣いたからで……スミレのせいじゃないから』
「ヤキモチ……晴斗はヤキモチ妬かないと思ってた。」
『顔にでないからそう見えるだけで、ずっと……』
嫉妬してた。
小声で呟くと、スミレが耳を寄せてきた。
「聞こえない」
『聞かなくていいから。行くぞ?早くしないと今年は花火見ずに終わるから』
少し不機嫌な声を出すと、スミレは嬉しそうに笑いながら素直についてきた。
『……。』
「ねえ、学校の中って見れたりするかな?」
『どうかな?先生まだ残ってるといいんだけど』
「もっと早くにも無理そうだったしね」
苦笑いを浮かべ、今日ここまでの事を思い返し、同じく苦笑いした。
『確かに。二人で来ればよかったんだろうけど……』
そんな事を言う勇気すらあの時には無かったし。
「来年は二人で来よう?」
照れながらも真剣な眼差しに、考える時間なんて要らなかった。
『うん。』
来年の約束に胸を踊らせ、顔を見合わせ互いに笑った。
このまま好きだと言えそうな空気が流れ
どうしようか迷っている自分がいた。
タイミングはいくらでもあったし、スミレが作ってくれた。その度に逃げて先送りにしてきたけど、今がその時なんだと口を開いた時、スミレが俺の服を引っ張った。
『どうした?』
「誰かきた……」
人影を見つめ俺の後ろに後ずさるスミレと、見覚えのある人影に目を凝らすと数学の先生だった。
こんな時間に何してるんだろう?と思ったすぐ後で、俺達も相手からしたらそうだなと思った。
『先生?!』
「おお!こんな所でなにしてんだ?花火始まってるぞ、見に行かないのか?」
近くまで来て立ち止まる先生は後ろをチラッと見て納得したように頷き笑った。
『人混みに行くのが嫌で、逃げてきました。先生は何してるんですか?』
「色々とあるんだよ、先生は!」
そう言ってポンッと肩を叩き俺たちを追い越した。
『あ、あの!中って入ったら不味いですか?』
「職員室に何人かいるから、声かけてみろ?俺に承諾得たってダメもとで言ってみろ?!」
『はい!ありがとうございます』
「変なことするなよ~?」
『……はーい。』
手を振りどこかへ行ってしまった先生が出てきた場所から中へ入ると、言われた通り職員室に向かった。
その道中、スミレが後ろを振り返りながらあの人は?と聞いてきた。
数学の先生だと話すと頷いた後、なにか気になったのか何度か振り返っていた。
「変わった先生だね?」
『まあな』


