走り去る背中を追うように俺たちも飴ちゃんを探しに人混みの中へ飛び込んだ。
 はぐれないようにと繋ぎ直したを強く握り、目線を下に向け歩いた。


『スミレ足痛くないか?』


「うん、まだ大丈夫」


 スミレに歩幅を合わせ歩きながら、右と左で分担し飴ちゃんを捜す作戦に切り替えた。
 端から見たら変な人にしか見えないよな?真剣だと思えば思うほど、沸々と笑いが込み上げてきて、それはスミレも同じだったらしく同時に吹き出した。


『クククッ……』


「アハハッ!」


『俺たち相当変なことしてるよなっ?』


「うんっ……!アハハッ」


 散々笑った後、再び同じ作戦で捜し始めた──


『どこ行ったんだろう?』


もう少しで屋台が途切れる。
 それらしい子は見かけるものの、どれも飴ちゃんとは違くて、スミレの足が気になり少し休む事にした。
 人もまばらな階段に腰を下ろし、ごった返す人の群れを眺めた。


『……見つかったかな?』


「うーん……」


元気がないスミレは足を気にしていた。


『やっぱ痛む?』


「ううん、大丈夫。ただ、なれないから足疲れちゃった」


『そっか。……飴が見つかったらさ、屋台見て回ろうな?』


「うん。」


『始めに何する?射的?金魚すくい、やっぱ焼きそばは食べたいよな?』


「フフッ……」


『お、やっと笑った。……俺、笑顔のスミレが一番好き……って、これは別に告白とかじゃなくて、その……』


「アハハッ── ありがとう」


『……うん』


 見上げた空は澄んでいて、照明が明るくて星は見えないけど、ずっと見ていたいと思った。


『そろそろ迷子でも捜しにいくか?』


「うん」


 立ち上がると自然に繋がれる手に嬉しくなる。
 俯くと見えるうなじにドキドキして、俺の言葉を聞こうと寄せてくる耳が少し赤くて、柔らかなほっぺをつつくと驚いたスミレが自然に上目遣いになる。


「なに?」


『柔らかそうだったから、つい』


「ムゥッ!」


頬を膨らませ、「ほら、柔らかくない」とホッペを突っいて見せた。


『なんだよそれ』


笑うとすみれもつられて笑った。