──公園が近づくにつれ賑やかな縁日の音も近づいてきた。
街灯に照された公園の入り口には、先に来ていた二人の姿が遠くからでもハッキリと分かった。
ポールに寄りかかる水沢が俺たちに気付き、ムッとした顔を向ける。
隣に立つ先生はにこやかに手を振っていて、東雲と同じ白い浴衣を着ているのに、思わずドキッとしてしまうほど色っぽい。
何人の男が先生を見て何度声を掛けられたのか、水沢を見ればなんとなく予想がつく。
「遅い。」
『ごめん、色々と時間がかかって』
ため息をつくと立ち上がり、東雲に近づいた。
「こんばんは」
しゃがみ込み笑顔で東雲の妹に話しかけてるのを見て、俺と秋、東雲は驚いた。
「ほ、ほら自己紹介して?」の言葉に素直に頭を下げ「しののめあめです!」と言った姿に隣から小さく「可愛い~!」という声が聞こえた。
「よくできました」
笑顔で妹を誉める東雲の姿に、今度は秋が「可愛い……」と呟いた。
「みずさわたくみです。」
ニッコリ笑う水沢は立ち上がり先生の隣に戻ると、自然と手を繋いだ。
「じゃあ、行こうか?」
水沢の言葉に頷き、花火が上がるまでの間、神社で暇を潰すことになった。
ズラリと並んだ屋台に目を輝かせる飴ちゃんは東雲の手を引き先を歩いた。
それに引かれながら歩く東雲は躓いて何度も転びそうになっていた。
「危ないから、飴~!」
「はやくっ!ねぇちゃはやくっ!」
そんな二人を追いかける秋は楽しそうだった。
3人を遠巻きに見ながら水沢の後ろを歩いていると──「なあ」と振り返る水沢に『なに?』と返すと水沢が歩みを止めた。
「二人ってどんな関係?」
『なんだよいきなり?』
「お前が言ってたイトコってこの人だろ?その後、進展したのかなぁって」
急に冷めた目をする水沢がスミレを見た。その視線がすごく嫌で、水沢から隠すようにスミレの前に立った。
『急にどうした?』
「なにが?いつもと同じだけど。」
そう言って目を逸らした水沢の口がニヤリとした気がして、急に胸の辺りがモヤモヤし始めた。
「で、どんな関係?もうキスした?いや、告白が先か」
いつもの水沢と違うことは、隣で困惑している先生をみれば分かった。
『水沢、やっぱり変だよ?』
「だから、普通だって。待ってる間、陽向に変な虫が近づいてイライラはしてるけど、大丈夫だから。」
その後、妙な沈黙が続き不安を拭えず警戒していると水沢が近づいてきた。
『気のせいかな?水沢が怖い……』
「ハァー……俺も。」
そう言ったあと、スミレの腕を掴むと怯えるスミレを引っ張りだした。
『なにしてんだよ!?』
俺をチラっと見たあと、水沢の顔がスミレに近づき、後ずさるスミレに水沢が話しかける。そんな事すら俺を苛立たせた。
水沢から引き離そうと腕を掴むと、境内を後にする数人のグループが俺たちを避けていく。
人が途切れ油断した俺の目に、水沢の背後によそ見をし話し込んでる男女が映り、咄嗟に引き寄せたのと同じタイミングで男が水沢にぶつかり、水沢がよろけた。
「わりぃ!」と男女が去ったあと、張詰めた空気が流れた。
『大丈夫か?!』
ギリギリで俺の腕の中に戻ってきたスミレは、泣きそうな顔で俺を見上げていた。
『なにもされてないか?』
その問いにスミレが頷く。
「ありがとう。」
震えるスミレを抱き締めたまま水沢を見ると、誰よりも驚いた顔をしていた。
『水沢も大丈夫か?』
「ああ。なんとか……」
そのあと小さくよかった、と呟いた。
「晴斗もう大丈夫だから」
抱き締めてた腕を離すと、照れ臭そうに手を握り、後ろに隠れ顔だけを出し様子を伺うスミレに口が緩む。
『……なにそれ……』
呟くとスミレが俺を見て首をかしげた。
可愛すぎる……。
ギュッと手を握ると、反応が返ってきた。
「晴斗ごめん。ちょっと脅かすつもりだったんだけど……あれは予想してなかった。」
そう言ったあとで再び頭を下げた。
「本当、ごめん。」
『謝る相手は俺じゃなくてスミレだろ?』
「……うん。ごめんなさい。」
「あの、私も悪いし、大丈夫だからもう謝らないでください。」
その言葉を聞いてもしばらく浮かない顔をしていた。
『俺たちはもう少し落ち着いてから行くから、先に見てきたら?』
着いてから境内の出入り口で止まったままの足を、先生に引っ張られ漸く動かす水沢を送り出し、出てきたスミレと顔を合わせ笑った。
『さっき、なんて言われたの?』
「ん?内緒。」
『……そう。』
あとで、水沢にでも聞くか。
俺たちもと言う空気が流れる中、秋が息を切らせ駆け寄ってきた。
「晴斗っ!飴見なかったか?」
『いや、見てないけど』
「じゃあ、まだ神社の中か。……飴がいなくなった。」
『はあ?』
「飴の焼きそば買って振り返ったら、もういなくなってて……今東雲が探してるから俺も行かなきゃ」
『俺たちも探すよ』
「見つけたら連絡して!?」
『うん、分かった』
街灯に照された公園の入り口には、先に来ていた二人の姿が遠くからでもハッキリと分かった。
ポールに寄りかかる水沢が俺たちに気付き、ムッとした顔を向ける。
隣に立つ先生はにこやかに手を振っていて、東雲と同じ白い浴衣を着ているのに、思わずドキッとしてしまうほど色っぽい。
何人の男が先生を見て何度声を掛けられたのか、水沢を見ればなんとなく予想がつく。
「遅い。」
『ごめん、色々と時間がかかって』
ため息をつくと立ち上がり、東雲に近づいた。
「こんばんは」
しゃがみ込み笑顔で東雲の妹に話しかけてるのを見て、俺と秋、東雲は驚いた。
「ほ、ほら自己紹介して?」の言葉に素直に頭を下げ「しののめあめです!」と言った姿に隣から小さく「可愛い~!」という声が聞こえた。
「よくできました」
笑顔で妹を誉める東雲の姿に、今度は秋が「可愛い……」と呟いた。
「みずさわたくみです。」
ニッコリ笑う水沢は立ち上がり先生の隣に戻ると、自然と手を繋いだ。
「じゃあ、行こうか?」
水沢の言葉に頷き、花火が上がるまでの間、神社で暇を潰すことになった。
ズラリと並んだ屋台に目を輝かせる飴ちゃんは東雲の手を引き先を歩いた。
それに引かれながら歩く東雲は躓いて何度も転びそうになっていた。
「危ないから、飴~!」
「はやくっ!ねぇちゃはやくっ!」
そんな二人を追いかける秋は楽しそうだった。
3人を遠巻きに見ながら水沢の後ろを歩いていると──「なあ」と振り返る水沢に『なに?』と返すと水沢が歩みを止めた。
「二人ってどんな関係?」
『なんだよいきなり?』
「お前が言ってたイトコってこの人だろ?その後、進展したのかなぁって」
急に冷めた目をする水沢がスミレを見た。その視線がすごく嫌で、水沢から隠すようにスミレの前に立った。
『急にどうした?』
「なにが?いつもと同じだけど。」
そう言って目を逸らした水沢の口がニヤリとした気がして、急に胸の辺りがモヤモヤし始めた。
「で、どんな関係?もうキスした?いや、告白が先か」
いつもの水沢と違うことは、隣で困惑している先生をみれば分かった。
『水沢、やっぱり変だよ?』
「だから、普通だって。待ってる間、陽向に変な虫が近づいてイライラはしてるけど、大丈夫だから。」
その後、妙な沈黙が続き不安を拭えず警戒していると水沢が近づいてきた。
『気のせいかな?水沢が怖い……』
「ハァー……俺も。」
そう言ったあと、スミレの腕を掴むと怯えるスミレを引っ張りだした。
『なにしてんだよ!?』
俺をチラっと見たあと、水沢の顔がスミレに近づき、後ずさるスミレに水沢が話しかける。そんな事すら俺を苛立たせた。
水沢から引き離そうと腕を掴むと、境内を後にする数人のグループが俺たちを避けていく。
人が途切れ油断した俺の目に、水沢の背後によそ見をし話し込んでる男女が映り、咄嗟に引き寄せたのと同じタイミングで男が水沢にぶつかり、水沢がよろけた。
「わりぃ!」と男女が去ったあと、張詰めた空気が流れた。
『大丈夫か?!』
ギリギリで俺の腕の中に戻ってきたスミレは、泣きそうな顔で俺を見上げていた。
『なにもされてないか?』
その問いにスミレが頷く。
「ありがとう。」
震えるスミレを抱き締めたまま水沢を見ると、誰よりも驚いた顔をしていた。
『水沢も大丈夫か?』
「ああ。なんとか……」
そのあと小さくよかった、と呟いた。
「晴斗もう大丈夫だから」
抱き締めてた腕を離すと、照れ臭そうに手を握り、後ろに隠れ顔だけを出し様子を伺うスミレに口が緩む。
『……なにそれ……』
呟くとスミレが俺を見て首をかしげた。
可愛すぎる……。
ギュッと手を握ると、反応が返ってきた。
「晴斗ごめん。ちょっと脅かすつもりだったんだけど……あれは予想してなかった。」
そう言ったあとで再び頭を下げた。
「本当、ごめん。」
『謝る相手は俺じゃなくてスミレだろ?』
「……うん。ごめんなさい。」
「あの、私も悪いし、大丈夫だからもう謝らないでください。」
その言葉を聞いてもしばらく浮かない顔をしていた。
『俺たちはもう少し落ち着いてから行くから、先に見てきたら?』
着いてから境内の出入り口で止まったままの足を、先生に引っ張られ漸く動かす水沢を送り出し、出てきたスミレと顔を合わせ笑った。
『さっき、なんて言われたの?』
「ん?内緒。」
『……そう。』
あとで、水沢にでも聞くか。
俺たちもと言う空気が流れる中、秋が息を切らせ駆け寄ってきた。
「晴斗っ!飴見なかったか?」
『いや、見てないけど』
「じゃあ、まだ神社の中か。……飴がいなくなった。」
『はあ?』
「飴の焼きそば買って振り返ったら、もういなくなってて……今東雲が探してるから俺も行かなきゃ」
『俺たちも探すよ』
「見つけたら連絡して!?」
『うん、分かった』


