リビングの扉を閉めると、部屋ではなく洗面所へ向かった。赤くなった顔を冷やし歯磨きを済ませると、寝癖の付いた髪をセットし大きく息を吐き洗面所を後にした。
 リビングの前を通った時、チラリと見遣るとそこに人の気配は無かった。


『どこいったんだろう?』


 階段の手すりに手を掛け角を曲がった時、何かにぶつかり一瞬よろけた。


「わっ!……晴斗」


『っ……スミレ、大丈夫か?』


「うん」


頷くスミレは、顔を背けた。


『着替えたんだ』


「うん、変かな?」


『変じゃないけど、短くない?』


「え?」


風が吹いたら見えてしまいそうなほど短いワンピース姿のスミレは、ニッコリ笑うと急にスカートをめくり上げた


『えっ、ちょっ何してっ!』


「あははっ!」


顔を背ける俺に、スミレは笑いながら大丈夫だと言った。


「見えても大丈夫なように、ほら!中にショートパンツ履いてるから!」


その言葉を信じ、恐る恐る視線を向けると、凝視してもいいものか悩んでしまう格好のスミレが「ねっ」と微笑んだ。


『分かったから……もう、だから』


 スカートを戻しながら笑うスミレに違う意味でドキドキした。