翌日、俺はスミレに叩き起こされ目を覚ました。
 夜中の出来事がなかったかのように振る舞うスミレに、寝ぼけつつも心配していた。


『……瞼、少し腫れてる』


スミレの顔に手を伸ばしかけた手を、そっと下ろした。
 身体を起こし、伸びをしながら大きなアクビをした。


『ん~……っ眠い』


目をこすりながらその場にアグラをかき、ボーッとしてると不意に腕を引かれスミレをみた。


『ん?どうしたの?』


「買い物に付き合って欲しいんだけど……」


『買い物?いいけど、何買うの?』


「髪飾り」


『ふ~ん……もう少しだけ眠りたい』そんな願いも虚しく、俺は今リビングのテーブルで並べられた朝食を眺めている。


『そういえば、友紀ちゃんは?』


下りてきた時から気配がなく、気になって聞いてみると、「9時頃に出掛けたよ?帰りは遅くなるみたい。」


『そっか』


チラリと時計に目を向けるとお昼を過ぎていた事に気づく。
ポリポリと頭をかき、視線を戻すと厚焼き玉子焼きが宙に浮いていた。


『自分で食べれるから』


視線を上げると、不機嫌な顔がそこにあった。
 とりあえず宙に浮いてるそれを食べ、箸を奪うと寝起きの胃袋にご飯を掻き込んだ。
 そんな姿をスミレは隣でジーッと見ている。


『……あのさ、見られてると、すごく食べ辛いんだけど?』