いとこ ~2度目の初恋~

 ──沈黙を壊そうと頭をフル回転させるも言葉は見つからず、『本当の父親の事、気になる?』そんな事を聞いていた。


「少しね。」


短い返事を聞いて後悔した。でも、引き返せなかった。


『そっか。』


「全部聞いたの。手紙も見せてもらった。」


『そっか……。』


「……私が産まれて、一時間後に容態が急変したの。元々体が弱かったみたいで、お医者さんには諦めた方がいいって止められてたらしいけど、「頑固だからキミを産むことに命をかけてしまった。」って。
 「この子の名前は二人で考え、母親と同じ花の名前をつけることにしました。
今の私にはスミレを大切に出来ないと思い、筆を取りました。どうか、普通の娘として育ててやってください。」もっと長い手紙だったけど、泣いちゃって全部読めなかった」


そんな事、どうして俺に話してくれるんだろう?
 隣を見ると、スミレの身体がさっきより小さく見え、気づくと抱き締めていた。 この身体にどれだけ悩みを抱え込んだら、俺に寄りかかってくれるんだろう?


『俺じゃ、頼りない?』


「え?」


『俺なにもないから。抱き締めるだけで精一杯だし、沢山傷つけるし、一緒に居たのにスミレの事全然分からないし……。
 もっと頼って欲しいって思うけど、俺じゃ……やっぱ頼りないかな?』


「ずっと頼ってるよ? こうして、側に居てくれるのは晴斗と秋だけだし。」


秋も……。


「こんなに自分のこと話した事ないから、色々思い出して泣きそう」


『泣いていいよ。俺もお前に泣き顔見られたし』


「フフッ、そうだったね」


『……話してくれてありがとう。
戸惑ったし、悩んだし、きっとまたスミレを傷つけたと思うけど嬉しかった。』


 話しながら背中をトンットンッと優しく叩くと、やっと弱い姿を見せてくれた。
 俺の胸に顔を埋め、ワンワン声をあげ泣くスミレは、俺の背中に腕を回し暖かい涙をシャツに落とした。