いとこ ~2度目の初恋~

瞼と頭を冷すため顔を洗い、顔を拭いながらタオルの中に大きなタメ息を吐き出した。
 ──階段がこんなに長いと感じたのは今日で何度目だろう?
駆け上がれば直ぐの階段を一段ずつ踏みしめ、長く短い廊下はあっという間に俺を部屋へと届けた。
 ドアを開け入ると、ベッドの上にはスミレが寝息を立て眠っている。
静かに近づく俺の前に、カーテンの隙間からぼやけた月が姿を見せた。
 ──目が慣れた頃、ふと隣を見下ろすと、無防備な寝顔が視界に入った。
顔にまとわりついた髪をどけ、手の甲で頬に触れるとヒンヤリしていた。


『まだ冷えてる……。』


タオルケットを掛け、ベッドの端に膝を乗せケータイを取るためスミレの隣に手を伸ばした。
 スミレを寝かせた際、奥に滑らせたケータイの位置を思い出しながら、手探りでやっと見つけた。


『……あ、あった』


上体を戻そうと体を起こした時、目を覚ましたスミレと目が合い、見つめ合ったままお互い固まってしまった。


『あの……』


「なに、してるの?」


『え?あ、ケータイがスミレの後ろにあって……ほら!』


掴んだケータイを見せ身体を起こすと、スミレが一つ息を吐いた。


『今、変な事想像したろ?』


「変な事って?」


まだ寝ぼけてるのか、スミレの耳元に顔を近づけ『キスとか……』
 そう言った後返事がなく、見ると両手で顔を覆っていた。


『スミレって耳弱いの?』


そう囁くとスミレが勢いよく起き、囁いた方の耳を塞ぎ俺を睨む。


「うぅっ......」


『フフッ そんな反応されると、もっとイジワルしたくなる……』

そう口では言いながら普通に話せてることにホッとしていた。