いとこ ~2度目の初恋~

「言いにくい事なんだけど、スミレちゃんと晴斗、いとこじゃないの。」


何を言ったのか理解出来なかった。


『は?……いとこじゃない?』


この人はいきなりなにを言い出すんだろう?
 戸惑っているのは俺だけで、父さんもスミレも黙ったまま真剣に友紀ちゃんの話を聞いていた。


「話さなくても良いようなことなんだろうけど、黙っててもいずれはバレる事だから。ショックも少しは軽くなるかな?って。」


『秋は知ってるの?』


「どうかしら?夏子とこの話しはしないから」


『そう。』


戸惑いながらも、理解しようとする俺の隣でスミレが「黙っててごめんなさい。」と頭を下げた。
 そして、スミレが自ら説明を始めた。


「私ね、養女なの」


『養女……』


「うん。私を産んだ本当のお母さんは私を産んで亡くなったらしくて、施設の前に私と一緒に《一人じゃこの子を育てられないので、どうかよろしくお願いします。》って手紙があったらしくて。
 今の両親は子供に恵まれなくて、やっと授かった子もやっぱりダメで……。
落ち込むママを見て居られなかったお父さんが、子供が棄てられてるって情報を聞いたみたいで、私がいた施設にやって来たの。
 ママに相談もせずに手続きを済ませたお父さんは、私を連れて市川家に帰ったの。」


 時折笑顔になるスミレの手は、シャツの裾をぎゅっと握りしめていた。


「ママは怒って父さんと暫く口を利いてもらえなかったらしいけど、隣で泣きじゃくる私を放って置けなかったって。
 その日から私の両親は市川の二人なの。」


『そうなんだ。』


「ユリさん言ってたわよ?
スミレちゃんを抱えながら《今ね、すごく幸せ》って。
あの言葉、今でも思い出すのよね。
晴斗を産んだ時の記憶がって、ここが幸せなるの。」


そう言って胸に両手を当て目を閉じ微笑むその姿に、少し照れ臭く、と同時に嬉しくもあり、複雑な気持ちになった。


「特別養子縁組って云うのをしてるから、血の繋がりは無いけどイトコなのよねぇ」


さらりと話す友紀ちゃんの声を聞きながら、喜んでいいんだよな?と自問自答していた。
 複雑過ぎて半分も理解できてないけど、スミレを好きになっても大丈夫ってこと?