いとこ ~2度目の初恋~

 ──その日の夕食は久しぶりに笑い声が響いていた。
 ビールを飲み、酔っぱらった父さんが、スミレに質問をし始めた。


「スミレちゃんは好きな人とかいないの?」


「えっ?!好きな人、ですか?」


ドキドキしながらスミレを見ると、困惑する目が俺に何かを訴えていた。


「いないのか?」


もう一度聞く父さんに、渋々答えるスミレの笑顔は引きつっていた。


「いますけど、まだ片想いです」


その言葉に反応したのは、友紀ちゃんだった。


「まだ?ってことは、そうなりそうってこと?」


ニヤニヤしながら俺をみる。


「どうなんでしょう?
相手にちゃんと伝わってるのか、結構アピールしてるんですけどね?」


「疑ってるんじゃないの?」


俺を見て紀ちゃんが続けた。


「本当に自分を好きなのか、だってスミレちゃん見たいにかわいい子が自分を好きだ
なんて。間違ってたらすごく恥ずかしい事じゃない!ねえ?晴斗」


『え?まあ、確かに。
アピールしてるって言うけど、やっぱ「まさか」とは思う……だろうし』


「そっか……」


そう隣でスミレが呟いた。
 友紀ちゃんはすべてを知ってるみたいだった。知ってて応援するような事、どうして出来るんだろう?


「晴斗は好きな子いるんでしょ?」


『……いるけど。』


それ以上言葉がでなかった。


「どんな子?」


知ってて敢えて聞いてくる友紀ちゃんに呆れ顔をすると、チラッと隣を目配せした。


『……聞いてどうするの?』


「聞きたいじゃない!ねえ?スミレちゃん?」


「あ、はい」


『はぁー……』


半ばヤケクソだった。


『笑顔がかわいくて……泣き虫で、俺の事一生懸命分かろうとしてて、無防備過ぎで隙だらけで……』


 言葉にする度胸に刺さる。
好きだってアピールは気づいてた。
友紀ちゃんの言う通り疑ってる。
でも、付き合えないのも知ってるのに、告白なんて出来ない。
 好きだけじゃどうにも出来ない事があるのも知ってる……。


「晴斗、迷ってる?」


『え?』


「壁があるのは確かだし、どうなるかは誰にもわからないけど、気持ちは伝えなくちゃダメよ。」


『一緒にいると楽しいけど、辛さ半分で……伝えるのまだ迷う』


「まだ時間はあるし、ゆっくりでいいわよ」


『うん。』


友紀ちゃんと真剣に話すのは初めてで照れ臭いけど、嬉しかった。
 こんな形でスミレを傷つけてるのを思うと居たたまれないけど……。


「スミレちゃん、そろそろ話そうと思うんだけど」


「はい」


そのやり取りを黙って聞いていた父さんは「もうそんな時期が来たのか」と微笑んでいた。
「あのね」と友紀ちゃんが真剣な顔で話し始める。