「天気雨……?」


窓の外を眺めボソリと呟く秋は、前の席に座ると売店で買ったのか、焼きそばパンにかぶりつきながら、またタメ息をついた。
 まるで、タメ息の理由を聞いてくれるのを待ってるかのように、その後もわざとらしくため息をつき続けた。


「……いい加減聞けよ!」


友紀ちゃんが作ってくれたお弁当から顔をあげると、不機嫌な顔の秋が俺を睨んだ。


『じゃあ、ナニシタンダヨー』


「感情こもってねぇし!棒読みって……」


『さっさと言えよ?聞いてやるから』


投げやりな態度を取りながらも、秋の言葉を待った。


「あのさ、手紙の返事なんだけど……」


さっきの勢いはどこへ行ったのか、パンを持つ手もゆっくり下り、秋はそれ以上口を開かなくなった。
 手紙がどうしたんだろう?気になったものの、秋から話してくれるのを待つことにした。


『……。』


 お弁当を食べ終え、次の授業の準備をしていても、一向に話す気配のない秋を待たずにチャイムが鳴った。
 秋は食べかけのパンを握りしめたまま、何も言わずに自分の席に戻っていった。