──頬を伝う水が雨なのか涙なのか、静かに降る雨が俺のすべてを濡らし、傘を差し歩く人が俺を避けなにかを囁く。
『俺なにしたんだろう?』
そんな呟きも、誰にも届かない。
スミレが怒った理由を本人に聞いても答えてはくれないだろうし、またこのまま何もせずにいたら、昨日までの日々が続くんだと思ったらタメ息しかでなかった。
「晴斗くん?」
そんな声が聞こえた気がした。
俺を君づけで呼ぶのは東雲か先生しかいない。
「やっぱり!」
そう言って俺を覗き込んだのは先生だった。
俺を傘の中に入れ「どうしたの?」と俺を見て穏やかに笑う。
『散歩の途中です……』
「散歩?傘も差さずに?」
『ダメですか?』
「ダメって言ってほしい?」
『……水沢は一緒じゃないんですね』
「常に一緒な訳じゃないわよ。私にだってプライベートな時間くらいあってもいいじゃない?
って言っても学校に用があってその帰りなんだけどね」
ニコニコ笑う先生は俺に何があったのか、それ以上聞いてこなかった。
「そうだ、少し付き合って!行きたい所があるんだけど、二人じゃないと食べられない限定品があって。
拓海は行ってくれないし、友達も都合が合わなくて。」
『別にいいですけど、俺こんなでもいいんですか?』
「大丈夫、大丈夫
服はそのうち乾くから!」
『あの、水沢に見つかったらどうするんですか?』
「どうもしないけど?悪いことしてる訳じゃないし、堂々としてればいいのよ」
そういって俺の腕を引き楽しそうに歩く先生を見ながら、行き先も分からず連れてこられたのは、人通りの少ない場所に建てられた不釣り合いなほどカラフルな外観の「喫茶店」と書かれたお店だった。
『確かに水沢が断りそうな……』
男子が入るには少し抵抗がある。
「かわいいのにね?」
『すごいですね……』
「でしょ?でも、中に入るとまた驚くわよ?」
楽しそうに扉を開け俺を招き入れる先生の言葉の意味をすぐに理解した。
外観からは想像もできないほど店内は殺風景に見えるのに、俺なんかが入るには子供過ぎて戸惑ってしまう。
水沢が来ない理由が少しだけわかった気がした。
落ち着いていて、コーヒーの匂いが漂う「カフェ」と言うより窓に書かれていた通り「喫茶店」が似合う場所だった。
外観との違いにしばらく動けなかった。
俺を見て笑う先生は「ビックリした?」と聞いてきた。
その言葉にただ頷くしかできなかった。
「気に入ってくれたみたいでよかった。マスター今日はちゃんと二人だから、おまけしてね?」
カウンターに詰め寄ると、マスターと呼ばれるその人は優しそうに微笑み俺をみた。
「君もこっちにおいで」
低いく渋い声に思わずドキッとしてしまう。
大人だ……そう思った。
『は、はい』
「コーヒーは飲める?」
『はい、飲めます!』
「ブラック?それともミルク入りかな?」
『え?あっと……』
「マスターいじめないでよ、私の学校の生徒さんなんだから!」
「あははっ、いじめてなんかないよ好みを聞いているだけさ。
常連さんになるかもしれない人だからね?」
そう言って俺にウィンクをした。
『あの、ブラックでお願いします!』
「ほお~?かしこまりました。」
マスターの眉が少し上がる。
「マスターいつもの、二人分お願いします」
「はいはい。」
注文を聞き席を外したマスターの後ろ姿を見ながら、『ホッ……』っと息をついた。
改めて店内を見渡し、お客がいる事に気づいたのはここに来て15分ほど過ぎてからだった。
L字型のカウンターに窓際に4席と奥の壁際に3席。
壁際はすべて埋まっていた。
『俺なにしたんだろう?』
そんな呟きも、誰にも届かない。
スミレが怒った理由を本人に聞いても答えてはくれないだろうし、またこのまま何もせずにいたら、昨日までの日々が続くんだと思ったらタメ息しかでなかった。
「晴斗くん?」
そんな声が聞こえた気がした。
俺を君づけで呼ぶのは東雲か先生しかいない。
「やっぱり!」
そう言って俺を覗き込んだのは先生だった。
俺を傘の中に入れ「どうしたの?」と俺を見て穏やかに笑う。
『散歩の途中です……』
「散歩?傘も差さずに?」
『ダメですか?』
「ダメって言ってほしい?」
『……水沢は一緒じゃないんですね』
「常に一緒な訳じゃないわよ。私にだってプライベートな時間くらいあってもいいじゃない?
って言っても学校に用があってその帰りなんだけどね」
ニコニコ笑う先生は俺に何があったのか、それ以上聞いてこなかった。
「そうだ、少し付き合って!行きたい所があるんだけど、二人じゃないと食べられない限定品があって。
拓海は行ってくれないし、友達も都合が合わなくて。」
『別にいいですけど、俺こんなでもいいんですか?』
「大丈夫、大丈夫
服はそのうち乾くから!」
『あの、水沢に見つかったらどうするんですか?』
「どうもしないけど?悪いことしてる訳じゃないし、堂々としてればいいのよ」
そういって俺の腕を引き楽しそうに歩く先生を見ながら、行き先も分からず連れてこられたのは、人通りの少ない場所に建てられた不釣り合いなほどカラフルな外観の「喫茶店」と書かれたお店だった。
『確かに水沢が断りそうな……』
男子が入るには少し抵抗がある。
「かわいいのにね?」
『すごいですね……』
「でしょ?でも、中に入るとまた驚くわよ?」
楽しそうに扉を開け俺を招き入れる先生の言葉の意味をすぐに理解した。
外観からは想像もできないほど店内は殺風景に見えるのに、俺なんかが入るには子供過ぎて戸惑ってしまう。
水沢が来ない理由が少しだけわかった気がした。
落ち着いていて、コーヒーの匂いが漂う「カフェ」と言うより窓に書かれていた通り「喫茶店」が似合う場所だった。
外観との違いにしばらく動けなかった。
俺を見て笑う先生は「ビックリした?」と聞いてきた。
その言葉にただ頷くしかできなかった。
「気に入ってくれたみたいでよかった。マスター今日はちゃんと二人だから、おまけしてね?」
カウンターに詰め寄ると、マスターと呼ばれるその人は優しそうに微笑み俺をみた。
「君もこっちにおいで」
低いく渋い声に思わずドキッとしてしまう。
大人だ……そう思った。
『は、はい』
「コーヒーは飲める?」
『はい、飲めます!』
「ブラック?それともミルク入りかな?」
『え?あっと……』
「マスターいじめないでよ、私の学校の生徒さんなんだから!」
「あははっ、いじめてなんかないよ好みを聞いているだけさ。
常連さんになるかもしれない人だからね?」
そう言って俺にウィンクをした。
『あの、ブラックでお願いします!』
「ほお~?かしこまりました。」
マスターの眉が少し上がる。
「マスターいつもの、二人分お願いします」
「はいはい。」
注文を聞き席を外したマスターの後ろ姿を見ながら、『ホッ……』っと息をついた。
改めて店内を見渡し、お客がいる事に気づいたのはここに来て15分ほど過ぎてからだった。
L字型のカウンターに窓際に4席と奥の壁際に3席。
壁際はすべて埋まっていた。


