いとこ ~2度目の初恋~

『離して』


「嫌だ。」


『ハァー……離せよ』


「晴斗はずるいよ。知らないフリで私の中に入ってきて、ぐちゃぐちゃに散らかして出ていくんだもん」


『スミレだってそうじゃん。
俺がどんな気持ちで今まで……』


これ以上言ったらまた話せなくなる。
でも、こうなってる時点で遅いよな?


「……。」


掴まれてる手首が少し痛い。
言いたいことがあるなら言えばいいのに。
なんか、ジンジンする。


『スミレ、手離して?』


「嫌だ。」


『どうして?』


「嫌だ……。」


嫌だしか言わなくなったスミレを見下ろし、タメ息をつくとまた手首が圧迫された。


『そんなに俺とキスしたいの?』


「……。」


今度は黙りか……。


『スミレ、なにもしないから』


「嫌だ」


『・・・』


どうすればいいんだろう?
 今ごろ後悔が襲う。どうしてあんな事言っちゃったんだろう?


『ごめん……』


「はると」


『なに?』


どうしよう、名前呼ばれただけなのに胸が痛い……


「怒ってる?」


『怒ってないよ』


「呆れてる?」


『呆れてない』


「じゃあ、めんどくさい?」


『どうすればいいのかわからなくて困ってる。』


「……嫌いになった?」


『教えない。』


「なんで?」


顔をあげたスミレの頬には涙のあとが残っていた。


『泣いたの?』


「泣いてない……」


ワザトらしく視線をそらすスミレの前にしゃがみ、手首を掴まれたまま涙を拭った。


『嘘つき』


目を伏せ唇を噛むしぐさに笑い、頬にキスをした。


「っん?」


『これも、キスだから。少ししょっぱいけど』


「バカ。」


『唇にして欲しかった?』


「~……っ!」


また赤くなり一人でブツブツ呟いてるのを見ていると、忘れていた睡魔が戻ってきた。


『スミレ、ごめん。俺やっぱ少し寝る』


目を擦りあくびをすると、スミレが俺を見ていた。


『なに?』


「なんでもない。」


『そう……で、離してくれないの?』


「うん」


『一緒に寝るの?』


「……うん」


『そう。でも、秋はどうするの?』


「あ!・・・。ちょっと待ってて」


そう言いそそくさと部屋を出ていった。
 手痕がついた手首を擦りながらベッドまで歩き、力なく座るとそのまま横になった。
 ゴロンと壁側に寝返りを打ちウトウトしているうち、いつの間にか眠っていた。
あんな事の後だからなのか、夢にスミレが出てきた。
その夢は──名前を呼ばれ目を開けると、スミレが俺を揺さぶり先に眠ってしまった事を怒っていた。


「晴斗聞いてる?」


『うん……。』


「どうして先に寝るの?」


『眠かったから……ごめん。』


「秋には帰ってもらったけど、大丈夫だっ
た?」


『うん、大丈夫……』


「聞いてる?」


『うん、聞いてる……よ?』


「はぁー」