いとこ ~2度目の初恋~

せっかくのチャンスだったのに。
そう思う反面、これでよかったのかもしれないとも思った。


「……引き留めろバカ!」


『え?』


もう居ないと思ってた。
 ドアノブをつかんだまま泣いてた。
初めて見た。スミレが泣いたのも、怒ったのも。


『ぁ……ごめん。』


「うっ……ばかぁ!っ」


ペタンとそのまま座り込むスミレに近づき同じ目線で話しかけた。


『スミレ、ごめん。』


「一緒に花火っ……行くっ、ヒック……」


『それは、まだ』


「っ~……行くって言うまで、ここにいるから!」


『え?』


どうしよう。
子供みたいに泣きじゃくるスミレがかわいいくて、髪に触れて宥めたいと思いながらも触れるのを躊躇ってしまうのは、嫌われたくないって思いが強くなってるからだ……。
 抱き締めて涙を拭いたいけど、そんなことしてまた無視されたら?
次こんなことがあったら俺立ち直れないかも……。


『……あのさ、聞きたいことがあるんだけど』


「なに?」


自然と上目になるスミレにきゅんっとしながら、こんな場面何度もあったんだから大丈夫と言い聞かせ、本題に入った。



『あの、こんなタイミングでどうかと思うんだけど、その、触ってもいい?』


「え?」


『その、近くにいると我慢できなくて……でも嫌ならハッキリ言って、またこうなるに嫌だから。』


「……。」


スミレは俺を見たまま目をパチパチさせていた。


『スミレ……顔赤い』


伸ばした手が頬に触れることなくゆっくりと降りていく。その度に胸が痛む。
降りていく手を見つめながらスミレが小さく囁いた。
その声は小さくてちゃんと聞きたくて顔を近づけたら、俯いてしまった。


『もう一度言って?』


「ごめん。……いいよ。」


『それは、何にたいしての返事?』


「無視したことに対してと、触ってもいいよの返事」


『……本当に嫌じゃない?』


「信じないんだね?」


『ごめん、色々不安定で』


「……それは、私のせい?」


『どうかな。』


伏せた目に映るのは、キツク握りしめられたスミレの手だった。
 そんなにギュッてしたら、爪のあと残るぞ?
 しばらくの沈黙のあと、スミレが俺の胸に頭を預けた。


『スミレ?』


「晴斗は私の事どう思ってる?」


『どうって?』


「ただの知り合い?親戚?イトコのお姉さん?」


『急にどうしたの?』


「好きな子いるんでしょ?」


『え?』


「隠さなくていいよ」


何でこんなこと、急にどうしたんだろう?


『……いるよ。その人は俺より年上なんだ。』


よくわからないけど、少しだけなら、気持ち伝えても……──


『俺より大人で、綺麗か可愛いかでいったらかわいい方で……笑顔が似合う女性』


「そう……」


『ふふっ』


顔は見えなかったけど、いじけてる顔が浮かんで気づいたら抱き締めていた。


「それで?告白した?」


『まだ。告白したら関係が壊れそうで。
その人の気持ちもハッキしなくて、でも俺の気持ちには気づいてるっぽくて、遠回しに好きだって言われてる気がするんだけど……なんか、ね』


「そう。」


『怒ってる?』


「別に……」


『じゃあ、拗ねてる?』


「……。」


後者か。
そっと、躊躇いがちに頭を撫でると、体がビクリと動いた。


『ごめん、言えばよかった?』


「フフッ。ビックリしただけだから、大丈夫。」