いとこ ~2度目の初恋~

『なに……?』


鼻声なのを気にしながらそう返事をした。
 4日振りに俺だけに向けられた声は短く、でもやっぱりどこかよそよそしくて、遠ざけようとしてる自分と、仲直りしたいと思う自分の間で葛藤していた。


「あの、秋に聞いて……」


ズキンッ──
今までで一番大きな痛みが胸に刺さった。
 そっか。そうだよな?スミレが自分から来るわけないよな。


『スミレの意思じゃないんだ。』


そういって残りの力を振り絞り笑う事が、俺なりの強がりだった。


「確かに秋に言われたからもあるけど、ちゃんと自分の意思で来たつもりだよ?」


『そう。でも、今はどんな言葉も嘘に聞こえるくらい……信じられない。
こんなに辛いなんて知らなかった……
今は、あんまっていうか誰とも話したくないから』


何だかんだ言い訳にしてスミレを避けてるには俺かも知れない。


『酷いこと言うかもしれないし、傷つけるかも……だから──』


「それでもいいよ。晴斗に謝りたいから。
このままは嫌だから……」


 その言葉を素直に受け止められない自分に腹が立つ。
それでも今は、スミレと向き合う余裕もなければ、優しい言葉をかける元気も、髪を撫でる事すらできない。
俺だって謝りたいのに……


『……今口開いたら、傷つけちゃうって分かってるから、スミレと話すのが怖い』


「私のせいだよね?」


『どうかな?俺があんなことしなかったら、今こうなってないし。
嫌な思いさせてごめん。』


「ちがっ、嫌じゃなかった……」


『いいよ、無理しなくて。
俺が、勝手に勘違いして舞い上がってただけだから。嫌われても仕方ないってわかってるから。
あと、今年の花火大会の事なんだけど、行くの辞めようと思って。俺から誘っといてキャンセルするなんてサイテーだと思うけど、いく気分になれなくて……ごめん。
秋と一緒に行って?』


「なにそれ……私と行くのが嫌になったならそう言えばいいじゃん!
楽しみにしてたのに……」


『俺だってスミレと行くの楽しみにしてたし、今年の夏休みも一番楽しみにしてたけど……疲れた。』


まともに眠れてないからか、スミレが隣にいるからなのか、さっきから眠たくて仕方がない。


『正直、今も怖くてさ?話したらまた無視されるんじゃないかって。
スミレだから色んな事が怖くなる。』


告白紛いの言葉を口にしてもスミレには届かないんじゃないかって、やっぱ疲れてるのかな?


「……そんなこと言われても……」


言葉が出てこないのか、俯いてしまった。
俺がそうさせたのか……


『秋とはよくケンカして口利かないでいるの見てたけど、俺ケンカする相手がいないから謝りかたとか、どう接したらいいのかとか分からなくて……
さっき秋と話してるの見て、秋に嫉妬してた。こんなことスミレからしたら迷惑な話だよな?』


小さく笑い先を続けた。


『秋なら花火大会一緒に行ってくれると思うし。』


「なにそれ……」


『秋とはケンカしても避ける事はなかったし、普通に名前も呼んでたし。俺もケンカしとけばよかったかな……なんて。』


「……。」


『趣味とか、好きなモノも似てるし』


「似てないよ。」


傷つけてる自覚はあったし、スミレが泣きそうなのも気づいてたけど、遠ざけようとしてるのかな?俺……


『俺といるときより話し弾んでたし、笑顔だし、楽しそうだし……』


遠ざけようとすればするほど胸が痛んだ。


「そんなこと言われても」


すみれ困ってる。


『しゅうとスミレ……さ』


その先を言ったら、どうなってしまうんだろう?


「いいよ。聞きたくない!どうしたの?」


スミレは、俺を嫌いになってくれる?