いとこ ~2度目の初恋~

 乾き始めた涙の後がヒンヤリする。
泣きたくないのに、なんで涙が出るんだろう?顎先から伝い落ちる涙を拭い静かに腰を下ろした。
 いつからこんなに傷つきやすくなったんだろう?胸の痛みが消えてもなお、まだチクチクと俺を刺してる感覚が消えない。
 ベランダに足を投げ出し、瞼を閉じながらゆっくり後ろに倒れるとヒンヤリとした堅い床に体を預けた。


『ハァー……』


力なく息を吐きそっと瞼を開けると、スミレの顔があった。
 手を伸ばせば触れそうなほど近くにある白い肌に、ゆっくりと手を伸ばすとスーッと霧となって消えていく。


『……幻覚……フッ、疲れてんのかな?』


また溢れる涙が零れないように目を閉じ腕をのせ蓋をした。
 生ぬるい風が髪を梳き、その心地よさに暫く身を委ねていた。泣き疲れて眠くなるのを待ちながら、違うことで頭を一杯にしようと考えても、気を抜くとスミレの顔が浮かんで結局スミレで一杯になってしまう……
 ──暫くして目鼻のだるさと頭痛に襲われた。あんなに泣いたのに、眠気だけが襲ってこなくて、身体を起こし、窓枠に頭をもたれてボーっとしていると、ドアをノックする音がした。


『はぃ……はい……!』


声が掠れ鼻声なのを隠しても無駄だということに声を出して気づいた。
 言い直した声が聞こえたかは分からないけど、ドアが動いたのを見て届いたんだと思った。


「……。」


誰だろう?……誰でもいいか。
 気だるくて誰とも話したくないのに、どうして返事をしたんだろう?


「あの。……ねえ」


微かに声が聞こえた気がしたけど、構わず瞼を閉じた。


「聞こえてる?」


今度はさっきより大きい声で、肩を揺さぶられた。チラリと横目に見ると、正座をした膝の上に握り拳が2つ見えた。
 目線をあげると、気まずそうにスミレが俺をみていた。