いとこ ~2度目の初恋~

「これ、友紀ちゃんから」


「ありがと」


テーブルに飲み物を置くとお盆を抱えそそくさと出ていってしまう。


「……ごゆっくり」


まともに見れなかった。
パタンッと閉まる音が頭のなかに響いて離れなかった。


「晴斗、大丈夫か?」


『……うん』


背を向けたまま返した。
 もしかしたら、スミレを避けてるのは俺なのかも知れない。


『俺の前だとあんな感じ。』


「重症だな」


苦笑いする秋はサイダーを一口飲むと「俺には遠慮するなよ?」と言った。


『うん、ありがとう』


 頼もしい笑顔からテーブルの上のサイダーに目を移し、その言葉にまた甘えてしまう。


『じゃあ、早速で悪いんだけど、しばらく1人にしてくれると助かる』


「ん、分かった」


『……ありがとう』


「一人に飽きたら呼べよ?」


『うん』


そう言い残し、笑顔で部屋を出て行った。
 こもって聞こえる足音が遠ざかり、耳なりのような空気の詰まる音が耳の奥で鳴り始めた。
 机を離れクーラーのリモコンを持ち窓際に立つと、点けていたクーラーを止め窓を開けた。一瞬で湿気を纏った生ぬるい空気が俺を追い越す。