「俺から聞いてみようか?」


『何を?』


「避けてる理由」


『……いいよ。』


「迷惑かけたくないって思ってるなら間違いだからな?」


『そうじゃなくて、本人の口から直接聞くまで待とうかなって?
いつか話してくれるかもしれないし。』


「ハル……それ花火に間に合わないと思う」


苦笑しながらも心配してるのが伝わってくるから、弱った涙腺から涙が出そうだった。


『確かに。フッ……』


「やっと笑った」


『ごめん』


ごめんって言わないようにしようって決めたのに、こんな簡単に破れちゃうんだ……。


「あっ!ケータイは?
メールなら答えてれくるんじゃね?」


『……メールは無視された。試しに送ってみたけど、まだ返って来てない。』


「そっか。晴斗さ、スミレになにしたの?
ずっと気になってたんだけど……」


『言わなきゃダメ?』


「話したくないならこれ以上は聞かないけどさ、原因がわからないから。
晴斗のとった事でなのか、スミレ自身の問題なのか……やっぱり話してみないと」


『なにか話すキッカケがあればいいんだけど……』


 秋の言う通りだとしたらやっぱり話さないと。


「きっかけか……」


そう呟き黙ってしまった。


『始めはまだよくて「おはよう」とか「おやすみ」以外にも話してくれてたんだけど、だんだん話してくれなくなって、スミレの顔見るのが辛くて……。
夕食の時間が憂鬱で』


「そっか。」


『こんな話聞きに来たんじゃないのに、付き合わせてごめん。』


「いいよ別に。話したら少しは楽になると思うし。」


『ありがとう。』


秋はニッコリ笑って窓に視線を移した。
なにかを考えてる秋は、時折難しそうな顔をしてタメ息を吐いたり、首を左右に振っていた。


『おまえに甘えすぎだな?』


「え?なんか言った?」


『ううん。』


 沈黙のなか誰かがドアをノックした。
躊躇うように二回。
それに返事をせずにいると、俺の変わりに秋が返事をした。
ゆっくりと扉が開き、スミレが遠慮がちに入ってきた。