〈学校に行く意味はあるんだろうか?〉毎日そんな事を思っていた。
〈ただ、退屈だから〉そんな答えしか浮かばないのに、飽きもせずに毎日考えていた。
 その日の下校途中、急に降り始めた雨にも動じず、持っていた傘を差しながら、慌てて走り去る生徒の後ろ姿を眺めた。


『さすが魔女』


今朝、母親の友紀(ゆうき)ちゃんに傘を持って行けと無理やり持たされ家を出た。「こんな晴れてんのに傘持ってきたのかよ!!」おかげでクラスの奴らには笑われたけど、今頃奴らは後悔してるだろう。
 次第に激しくなる雨に、足を止めケータイのカメラを雨の中に向けた。


『やっぱりダメか……』


雨をカメラで撮るとマルや雫のような形にはならず、シャープペンシルの芯のように細長く写ると本で読んでから、懲りずにケータイのカメラを向けている。
 そもそも、雨はどうしてこんなに嫌われるんだろう?そう考え始めて止めた。


『くだらない』


も理由の一つだけど、僕の目の前に黄色い傘が現れたから。が中断した一番の理由かもしれない。
 俺の傘よりはるかに小さい傘をクルクルと回しながら、傘と同じ色の長靴で堂々と水溜まりに入っていく。
 俺にもあんな時が在ったんだろうか?
と眺めていると、クルリと振り返った少女と目が合った。


『ヘヘッ』


照れたように笑う少女は、またクルリと回り水溜まりに長靴を浸した。