この店は、日頃おばあちゃんが生活している家と繋がっている。というより一部だ。
レジの奥のすだれをあげて、進めば畳の広い部屋が広がっている。
そこで目を引く家具と言えば、扇風機とタンスと丸いテーブルぐらい。
それでもスペースが広くあまっているのでとても殺風景な部屋に見える。



足腰が弱ってきたお婆ちゃんを桜香さんが手伝ってたけど、もう一人くらい人員が欲しいとのことで私が採用された事がこのバイトの始まりだった。





「あ、そう言えば"雨宮雫"って名前の女の子を知ってますか?」




私は店にお客さんが居ないのを良い事に、いつものように座敷へ上がってお話をする事にした。

もし、仕事があるなら桜香さんが私が店に来た時すぐに指示をだしているはずだ。何も言われないという事は今日は仕事が急ぐ無いという事だろう。




「あぁ知ってるよ。よくここに遊びに来てくれた子だね」



あ、やっぱり常連さんだったのは本当なんだ。

…どうしよう…雫に対して本当に私って失礼な事しかしていない…