「…雫、この空気で答えないといけないの?」




私には、ここに居る全員に対して絶対に誤解を解ける素晴らしい答えは言えない。上手い言葉が見つからないのだ。




「いや―…まぁ、言いにくいなら言わなくて良いよ」




「…ありがとう。また、後日必ず話すよ。
もうそろそろ休み時間終わるし…ね」




私は笑顔を作って、雫の席の方へ目を向ける。




「ん、分かった。じゃあ放課後ね」



「あ、放課後は…」





私の視線で足先を変えた彼女の言葉に対し、私は少し腰を浮かせ反応する。


放課後は、ダメなんだ。

私にはどうしてもはずせない用事がある。




「あそっか。忘れてた。ごめんごめん」





私の言葉に特に気を悪くした風でもなく、彼女はもう1度ごめんと言いながら自分の座席へと戻っていった。