そうして授業が終わると、真っ先に雫が私の席へやって来た。
「逃がさないよ?
きちんと話、聞かせてもらうんだから!」
「……別に逃げないよ」
まだ午後の授業が1つ残ってるし。
逃げるような理由もなければ、逃げる事にメリットもない。
いずれ今日、逃げ切ったとしても話すときはくる。…雫にはそう感じる。
今までなら、自分の事は当たり前。
相手だってこんなに迫ってくる事なんてなかった。
…だから、
………………………雫が今にも飛びかかってきそうで恐い。
「空と飛川先輩って付き合ってるの?」
「………」
やっぱり皆気になるのはそこなんだ。
静かそうな風本君でさえ、聞いてきたもんなぁ…
「付き合ってないよ。
今日初めて話したばかりだし。
…まぁ、あのシーン目撃したら勘違いするかもしれないけれど、本当に付き合ってないよ」
私は少しでも信じてもらえるよう、顔色を変えずに答えた。


