「空!後で詳しく聞かせてね」
お昼休みもあとわずか。じっくり話す時間はない。
……やっぱり雫ノリノリだ…
とりあえず、自分の状況を深く考えるのは後回しにして遠子さんに作ってもらったお弁当を消化しよう…
じっくり食べられなかったから、おかずがまだ余ってるんだ。
しかし、せっかく去ったと思っていた先輩との怪しげな噂の風はまだ私に残っていた。
「まさか、飛川先輩と付き合ってるとはな…」
「……風本君」
次は貴方ですか。
居て欲しい時は居なかったのに。
どうして皆、私の平和なお昼を妨げるのだろう?
今までお昼休みギリギリに昼食が片付く事なんてなかったのに。
「…先輩とは付き合ってなんかないよ?」
見れば分かるでしょう。
いかにミスマッチかが。
「いや…手を繋ぎながら教室まで送ってもらってる時点で説得力0なんだけど?」
…そこを見て欲しかったわけじゃない。というよりそこは見て欲しくなかった。
「本当に付き合ってないよ。
私、今日初めて話したばかりなんだよ」
「へぇー…そうなのか?
じゃあ、俺のこと、名前で宜しく」
「え?今…《キーンコーンカーンコーン》」
チャイムが鳴ってしまったので、聞きそびれてしまった。
風本君は何て言ったんだろう?


