「まさか、その風本って奴と付き合ってるわけじゃないよな?」
つ、付き合う!?
「あ、あの…先輩…?」
「おい、本気で笑えないからその反応。
まさか、この時期で彼氏居るのか!?」
マズい。この人話がどんどん飛躍してる。止めないと…!!
「か、勘違いです!!
風本君は、そんな人じゃありませんから!!
それにこの前名前を知ったばかりなんです!!」
そんな人が…彼氏だなんて…何をどう考えたらそんな発想になるんだろうか?
「そっか。
なら良いんだ」
何が?とは思ったけれど、それは聞けなかった。
それよりも、うわー…綺麗な笑顔だなぁ…と思わず見惚れてしまったから。
本当に飛び抜けている。――…まるで別世界の人みたいだ。
でも、この顔に流されちゃ、ダメだ。
「じゃあ、私そろそろ教室戻りますね」
私は振り返る事なく、教室へ足を進めた。
だから、私の背を見送りながら先輩がどんな顔をしていたのかは分からなかった。


