「……で」
私は、微かに震える拳を強く握り直す。
「?何て?」
私はキッと正面を見据え、今度こそ彼の耳に届くように言った。
「私をからかわないで!
―――…私は、貴方と関わりたくないと言ったじゃないですか!!」
何故、この人は意味の分からない――それも皆の噂になるような事ばかりするんだろう―――
だから、私は嫌だと何度も何度も言ってるのに。
こんな事、されても嬉しくないのに。
私が欲しいのは―――ただ、欲しいのは…
「はぁ――…全く分かってねぇ…」
そして興奮気味の私を落ち着かせるように、私をギュッと抱きしめてきた。
……ちょっと苦しい。
そして、この人はやっぱり分からない。


