「どうぞどうぞ」
「雫!」
しかし、私の様子はお構いなしと言った感じで雫が淡々と返答してしまう。
あぁ…このままじゃあ、マズい。
それにクラスの皆の視線も痛い。
そして口を出してきそうな京葉はこんな時に限って席を外していた。
私は為す術もなく、こっそりため息を吐く。
「…一つ聞いて良い?」
「手短にお願いします」
そしてどうしよう…どうしよう…とひたすら頭を悩ませている私の傍で勝手に会話を進めている2人。
しかも、雫の声って結構ハッキリとしていてよく通るから、クラスの人には丸聞こえ状態だ。しかも、一体、こんな目立つ先輩が何の用事かと注目している中だ。…正直、消え去りたい。
私の方ですら、何故先輩がここまで足を運んで来たのか見当もつかないんだ。
と、とりあえず、私はたとえ2人の会話がどんな内容であろうと無視をしようと心の中で決意したその時だった。


