しかも、その歓声がどんどんこちらの方向に近づいているように思えるのはきっと気のせいじゃないだろう。
きっと“歓声を浴びせられる程の何か”がこちらに近づいて来ているのだと思う。…よく分からないけれど嫌な予感しかしないのは何故だろう。
「雫、何で廊下側はあんなに騒がしいの?」
昼食は、私の机で向かい合って雫と教室で食べていた。
とりあえず、廊下側の席だった雫が知っているかもしれないと思い、原因を問うてみる。
到底自分の目で確かめてみるという気は起らない。
歓声に混じるのは嫌だし、そもそももし何かの手違いで巻き込まれたりしたらたまったものではないからだ。
「私もチラッと見ただけだけど超かっこいい人がいたんだよ。遠くからだったけど、私視力は良いから。…だからじゃない?」
……それって…
ガララ…
「空さん、いますか?」
――…やっぱりあの人だ。
目立ちたくないから雫の影に隠れたけど、その瞬間バッチリと目が合ってしまった。
「良かった。居てくれて」


