「分かったよ。
―――じゃあ、また後で」
しかし、そんな彼の呟きは、腕を解放され全速力で走り出した私に聞こえるはずもなかった。
「ハァ―――――――…」
な、なんとか間に合った。
時計を見ると授業の始まるギリギリ1分前だ。
「そんなに雑用押し付けられたのか?」
下敷きでパタパタと仰ぎながら汗を冷ます私に京葉が声を掛けてきてくれた。
「…まぁ、予想外の出来事に遭遇しまして…」
「は?それは――――――」
しかし、続きの言葉はチャイム音により遮断され、結局先生の号令の指示で私たちは会話をしなくなった。
授業中に話そうとまでは思わない。
でも、こうやって何気ない一言を掛けてくれる事が嬉しくて。
私はこっそり窓の外を眺めながら感じた。
そうしていつものように授業は終了し、昼休みがやってきた。
「「「キャアァ―――!!」」」
何故か突如廊下の方から聞こえる歓声。今まで約1ヶ月昼休みを経験していたけれど、こんな事無かった。
何故か今日はやけに教室の外が騒がしいのだ。


