あぁ…成る程。
これは嘘だ。それか人違い。
理由は言わなくても簡単な事だ。
こんなにかっこよくて、私の知らない出会い方で、しかも地味な私に告白なんて有り得ない。
信じろという方が無理な話だ。
「きっと、人違いですよ…?」
とりあえず無難な推測の方から述べる。
さすがに初対面の人に嘘つき呼ばわりはマズいと思ったからだ。
「俺が見間違えるはずがない」
一体どこから来るんだ、その自信は。
と、とりあえずこの訳の分からない状況をどうにかしないと…厄介事はゴメンなのだ。
きっとこの人は関わってはいけない人種だ。
さっきも何だか追われてるみたいだったし。それに第一印象がアレじゃあ…怪しすぎる。何を考えているのか分からない。表情も作り物だ。
不安要素しか出てこない。
「その顔は信じてないね。……それなら分からせるまでだ」
そう言って、私を突然抱きしめた。
「本当は、激しくキスしたいんだけど…理性飛びそうだから勘弁してやる」
「………」
何だか…この人さっきから言葉が崩れてないか?
段々物腰柔らかな丁寧口調がとれている気がする。
…私の気のせいだろうか?


