「あ、俺の名前は飛川相羅(ヒカワソウラ)。宜しくね」
幾度となく世の女性達に振りまいてきたであろうキラキラの笑顔を私に向ける。
…私とは住む世界が違う気がする…
しかも、眩しすぎるのだ。
雫や藤原夫妻とはまた違った笑顔。
だけど、そこには過去の親戚達の様な冷たさはない。
きっと、コレは私がよく浮かべる愛想笑いに似た“作り物の笑顔”だと直感的に思った。
「あ…私は香椎空です。こちらこそ宜しくお願いします」
とりあえず、自分の名前も名乗る。
相手に自己紹介されて自分が名乗らないのは失礼だ。
「香椎、空…か。
そんなに堅くならないでよ。空って呼ぶから相羅って呼んで?」
柔らかな透き通った声に思わず"うん"と頷いてしまった私。


