恋雪【修正中~50pまで~】



出来る事なら、関わらない方が最善なのだろうが、生憎この資料室に扉は1つしかない。


つまり不審人物なる彼があの場所をどいてくれない事には私はここから出られないのだ。



「あの…」




私は意を決して彼の背中に呼びかける。





「!」




声をかけるとビクリと体が反応した。

…相当事情を抱えているのだろう。

多分、様子からして誰かから追われていると見た。でも、この狭い学校で逃げてもすぐに捕まる気がするのだが…止めておこう。
私なんかが他人の事情に余計な想像を広げて首を突っ込むものじゃない。




「……少し道を開けてもらえませんか?」




私がそう言うと彼は緊張がふいに解けたのか、私を見開いた目で見つめる事を止め、私の質問とは全く噛み合わない事を言った。




「…………やっと会えた」




先ほどまで光の加減と距離的に見えなかったが、私の前まで近づき、微笑んだ彼はかなりのイケメンさんだった。


きちんと表現するなら…浮き世離れしたかっこ良さをもっていた。


というよりこの人は私を知っているみたいだけど、誰だろう?
…また分からない。