そうして休み時間。 プリントを運ぶために私が席を立つと風本君が 「お気の毒」 と少しニヤリとした顔つきで言ってきた。 「うん、ありがとう」 「…本当に変な奴だな」 私はこういう何気ない会話が、今心地良いと感じているんだ。 たった些細な事だけど、風本君は私の失礼な質問にも答えてくれた。 そして何より窓を見る事が好きなのだと言っていた。 私が立ち上がった時にも、声を掛けてくれる。 私はそれが嬉しいんだ。 だから私はタイミングを逃して先ほど風本君に伝えられなかった言葉を伝えたかった。