でも、この町には長く居たいんだ。
だから出来るだけ、友達だなんて多くは望まないけれどわだかまりは作りたくない。悪目立ちもしたくない。
何とかフォローしようと言葉を出そうとするけれど、上手く声には出なくて…
でも、そんな時だった。
「……風本京葉(カザモトキョウハ)」
ボソッと呟いて、風本君は机に突っ伏して寝てしまった。
「………」
私はそんな彼の言葉に放心する。
―――…きっとこの人も不器用だけど優しい人だ。
そんなほのぼのとした朝の時間は過ぎ、退屈な授業を知らせるチャイムが鳴った。
基本、授業は真面目に受けるけれど、やっぱり窓の外が見たくてチラリと視線を黒板からそこへ移す。
だって、雨が降り始めたのだ。
私は雨が、嫌いじゃなかった。
――…でも、それがいけなかった。


