ミルフィユと猫被り




「…さく、ママから連絡きてない?」



リビングでのんびりテレビを見ていたときに、ふいに月華が桜空を横目で呼んだ。


例え幼なじみでも、男の家ではしないよーな格好でソファに寝そべりながら。


桜空は、いかにも面倒臭そうに雑誌から目を離して携帯を手に取り、操作し始めた。



「なな、連絡ないよ。この調子だと帰ってくんの10時だね。」



桜空は、いつもの調子で愛想なく淡々と喋り、また雑誌に目を落とした。