ミルフィユと猫被り



「桜空って、桜空かよ?!月華は、どぉすんの!」


「そぉだよ。…月ちゃんも可愛いけど、俺あの子とやってける自信ないし。」


「は…?ぢゃあ、どぉすんの、月華。」



兄貴は、黙って隣の家を窓越しに眺めながら呟く。



「お前、月華に『瞬』だと思われてんのか?」


「でなきゃ、何で俺なんかに告んだょ。」



俺は、制服の裾を握り締めながら、まだ着替えてなかったことを思い出して下唇を噛む。



「恭、聞いてくれ。今日から俺が『恭』で恭が『瞬』だ。お前は月華と、俺は桜空と付き合えるようにな♪」